「詰め込み学童」に反響 国の基準を超える受け入れが常態化 改善求める声「保育園並みの制度を」

(2023年5月5日付 東京新聞朝刊)

基準に沿って運営する「学童保育市ケ尾ちびっこの家」。新年度は1年生が早めに下校し、上級生が来るまでのんびり過ごしていた=一部画像処理

 共働きやひとり親家庭の小学生が利用する学童保育のあり方に関心が集まっています。子どもたちが基準を超えて詰め込まれている学童の現場を取材した須藤恵里記者のコラム「子どもが多すぎ『詰め込み学童』」の記事には、子どもたちが放課後を過ごす場について、さまざまなコメントが寄せられています。

待機児童の波が保育園から学童へ

 「子どもを詰め込むだけ詰め込んでルールでがんじがらめにしたり、遊びも、やれおやつだ、やれ帰りの支度だなどと言われてぶつ切りに。ゆっくり心ゆくまで遊ぶこともできない」。60代の女性はこう指摘します。子どもを学童に通わせる40代の男性も「保育園の時のような手厚さは難しい」と不安を感じています。

 社会問題となった保育園の待機児童のピークから5、6年がたち、保育園を必要としていた家庭の子どもたちは学童を利用する年齢に。「詰め込み」の背景には利用児童の急増があります。

グラフ 学童保育の入所児童数の推移

広さや職員の配置基準に義務なし

 学童にも子ども1人あたりの施設の広さや職員配置などの基準があるが、保育園と違い、義務にはなっていません。このため、施設が不足する地域では、基準を超えて子どもを受け入れている施設も多いのです。「これだけ利用する子どもが増えているのだから保育園並みに制度を作って運営するべきだ」と先の女性は訴えます。

グラフ 学童保育での重篤な負傷事故

 指導員からは待遇改善に加え、「自信を持って子どもと向き合うため、研修を充実させてほしい」との声も目立った。2年弱で学童を辞めたという40代の女性は「子どもたちの関わりで何が正解か分からず、戸惑う日々だった」と振り返ります。いくつかの学童で働いてきた50代女性は「配慮の必要な児童が増えているが、対応方法は手探りでアドバイスは得られない。保育環境も適切とは言いがたい。指導員が学習できる機会を」と求めています。

子どもに目が届かなくなってしまう

 約40人の児童が通う横浜市青葉区の「学童保育市ケ尾ちびっこの家」は、施設や指導員の配置などについて国の基準に沿って運営しています。常勤指導員として約10年働く平井茜さん(43)は、「自由に動いたり、指導員と1対1で遊んだり話したりと、子どもがその日の調子に合わせて過ごせることが大切。これ以上の人数がいたら、目に入らない子どもたちも出てきてしまいます」と話します。

 全国学童保育連絡協議会の佐藤愛子事務局次長は指摘します。「学童保育は児童福祉法に位置づけられており、民間企業の預かりサービスとは違うものです。どの自治体でも基準に基づいて運営される学童を整備すべきです」

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  • さー says:

    保育園が少ないから保育園をどうにかしてほしいその結果、今子どもが少なくなって空きがある保育園は、保育士をリストラさせないといけない背景になっています。また学童保育の施設を多くすると子どもが少なくなった時、今度は、先生達をリストラさせるんですか?政府は、後のことも考えてほしいです。

    さー その他 無回答
  • もこもこ says:

    学童支援員として働いています。私の働いている市では、子どもの受け入れ人数が決められていますが、私の働く学童も定員いっぱいの状態です。

    お給料が低いので働きたいと思う人がなく、職員、パート、アルバイトの確保が難しく、どこもギリギリの状態だと思います。みなさんのコメントを読むと、私の職場はまだ良い方なのだと感じます

    真剣に社会が取り組まなければならない問題で、保育園と同じように児童期の子どもが通う学童も、環境、保育の質、支援員の待遇を考えて欲しいです。社会全体が子どもを育て、子どもを育てている家庭、保護者を支援していくことが大事です。

    言葉で言うのは簡単だけど、子どもに寄り添う支援員、学童が必要なのではないでしょうか? 社会が子どもたちを大切に考え、子どもの育っていく人、場所の環境を整えてもらいたいと切に願います。

    もこもこ 女性 60代
  • 釋遇光 says:

    特別支援教育支援員13年目、勤務先の校長の依頼で、夏休み期間の応援から、通年1日で良いからで、学童保育10年目です。結局補助員の扱いです。特別対応必要な学童メインです。

    昨年度より福祉協会から民間委託された事で、収用人数が10人増えました。 出席率80%ですが、かなりきつきつの状況です。支援員資格希望して居ますが、足りない施設からで、時給は低いままです。ベテランに変わらぬ経験はあるつもりですが。

    結局、教育全般への予算不足も有るのでは? 小学校も縮小傾向なのですが。

    釋遇光 男性 70代以上
  • みっちゃん says:

    学童保育に勤務していますが自治体によって子供達の扱いも様々だと思う。何箇所か勤務してみて子供の人数に対し支援員の数が状態化して不足しています。

    給与面なども低いと思う。10年以上勤務資格持っていても派遣社員よりも時間給低いです。責任は重く辞めて行く人が多い。自治体の人は見て見ぬふりです。期待できないかな。

    みっちゃん 女性 60代
  • 匿名 says:

    学童保育の良いところは残し人員配置など職員の体制など変えたいです。

     男性 50代
  • holly says:

    利用者(保護者)です。学童には本当にお世話になっています。

    ただ、利用している学童も定員55名の施設に120人以上が在籍し、春休みや夏休みなど利用者が増える時期には子供が施設に入りきれず、ご飯やおやつを屋外のテラスで食べる子もいる状態です。

    指導員さんもベテランの方が多く、良くしていただいていますが、目が届かない所で子供のトラブルや怪我が頻発しているのも事実です。

    学童運営に法的な規定がないのであれば、改善要望の声はどこに上げたらいいのでしょうか。学童運営のNPOに改善要求をするのも、改善ができないからこの状態なのでしょうし…。市区町村の教育課への相談を検討しています。

    holly 女性
  • さっちゃん says:

    学童保育指導員をしていた施設責任者です。よく、取り上げていただきました。学童保育の問題は、社会が待ったなしで取り組まないといけない課題です。

    指導員は、月14万の手取りで、人手不足の中、夏休みも必死で働いてこどもたちの安心安全を守り、学ぶ機会もなく、長く続けているだけの質のよくない指導員に若い指導員が辟易して離職したり、やりがいを感じても家族を養えるような所得ではないため、良い指導員たちが転職する悪循環を繰り返しています。

    結果的に、保護者やこどもたちが、学童が合わない、楽しくない、辞めたいといった苦しく悲しい思いをしているのです。保育園ばかりが陽の目をあびます。学童保育は置き去りです。たくさんの人が、改善への声をあげてくれて、国が変わってくれることを切に願っています。

    さっちゃん 女性 40代

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