金融教育はゲームで! 投資、円安、インフレ…楽しく疑似体験 証券・保険・銀行がそれぞれ教材考案
とっつきにくい経済用語に親しもう
「とっつきにくいイメージのある経済用語や資産運用に親しんでほしい」。SMBC日興証券(千代田区)で金融教育を担当する川西麻美さん(33)は同社作成のカードゲーム「アセットモンスター」を手に語る。
ルールは、自分が保有する資産(アセット)の価値をどれだけ上げられたかを競うもの。預金、株式、外貨、国債の中から好きな資産を選び、「円安」「インフレ」などと記されたカードを使いながら、社会の出来事が資産価格にどう影響するかを疑似体験できる。
ゲームは、SMBC日興証券が小中学校で出張授業を行う際に教材として活用するほか、同社ホームページで注文を無料で受け付けている。川西さんは「親子で一緒に遊べるので、家庭での教育に取り入れやすいと思う」と利点を語る。
住宅購入、イデコ加入をすごろくで
ゲーム教材は他にも。第一生命保険は>すごろく形式の「ライフサイクルゲーム」を開発。盤上のマスには、「就職」や「住宅購入」など人生の節目となる出来事や、「台風で自宅が浸水」「(ケガの)治療で入院」といった不測の事態、「投資信託の購入」「iDeCo(イデコ)加入」などが記されており、プレーヤーは自分のお金が増減するのを疑似体験できる。
同社が学校など団体に提供したゲームの数(2022年度)は1万500件と前年度の2倍に増加。高校での金融教育の必修化や成人年齢引き下げを受け、中学や高校から出張授業の依頼を受けることも多い。同社の榎本奈緒美さんは「将来に備えることの大切さを学べる」と狙いを語る。
「ごっこランド」夢を応援する投資
みずほ銀行は、無料の子ども向け社会体験アプリ「ごっこランド」で、アプリ内で使えるお金の管理を疑似体験できる「コイン通帳」機能や、投資を疑似体験できるゲーム「みんなのゆめをかなえよう!」を提供している。
ゲームは、ケーキ屋やサッカー選手などさまざまな夢を持つ人を応援するという設定。夢がかなった人からはゲーム内で使えるポイントがもらえるため「夢を応援する投資の社会的な役割を楽しみながら自然に学べる」(担当者)。
金融教育に力を入れる三井住友フィナンシャルグループによると、学校や企業への出張授業の受講者は2021年度の約17万人から2022年度は約23万人に増加。背景には高校での金融教育の必修化があり、受講者の約7割を高校生が占める。一方、小中学生の割合は約1割にとどまり、担当者は「イベントやゲームで楽しく学べる機会をつくるなど、小学生から社会人まで幅広い世代に金融の知識を普及させたい」と話した。