東京都の「高校無償化」に隣の川崎市民はもやもや 徒歩5分でも支援格差「果てしなく遠く感じる」

 東京都の小池百合子知事が、来年度から、私立を含む全ての高校の授業料助成に設けている所得制限(世帯年収910万円未満)を撤廃する方針を示しました。対象は都内在住の世帯です。新たに支援対象となる家庭で歓迎の声が上がる一方、複雑な気持ちを抱く近隣自治体の保護者もいます。

多摩川を挟んで手前が東京都、奥が川崎市。右奥は武蔵小杉駅周辺のビルとタワーマンション群(2017年5月撮影)

都内の高校に通学 県の支援は対象外

 多摩川を挟んで東京都の南隣にある神奈川県の川崎市。市内から都心の私立高校に長女(16)を通わせる男性会社員(50)は「家族から『東京都との境がすぐ近くにあるのに、なぜ住む場所をこっちにしちゃったのか』と責められました」と苦笑いします。

 国の私立高校の就学支援金は、全国私学の平均授業料を勘案した額(年39万6000円)が上限で、年収590万円未満の世帯が対象です。都は独自の上乗せ制度で、国の就学支援金と合わせて年47万5000円を上限に助成しており、来年度から910万円未満の所得制限も撤廃する予定です。

 神奈川県も年収700万未満の世帯まで年45万6000円を上限とするなど同様の独自支援制度があります。ただ、対象は県内在住かつ県内設置の私立高校に在学する場合なので、前出の男性の場合は対象外でした。

子どもの医療費も…「引っ越したい」

 「都の制度は、都外の私立高校在学の場合も対象なのに残念」と男性。子どもの医療費助成の面でも都との支援格差を感じているといい、「今さらだが、手厚い支援を受けられるなら、都内への引っ越しも検討するかもしれない」とため息をつきました。

12月5日の定例会見で、東京都の方針に見解を述べる川崎市の福田紀彦市長

 定例会見で質問を受けた川崎市の福田紀彦市長は「東京都の財政力と比較されては、もう全く太刀打ちできない。東京都と川崎市という基礎自治体を皆さん比べてしまうが、そのあたりを混同される懸念はすごくある」と、人口流出などの影響を心配しました。

 とはいえ、前出の男性と同じく東京都との境まで徒歩5分の場所に住んでいるという子育て中の50代男性会社員も「(東京都は)物理的な距離以上に、果てしなく遠く感じる」。一部の保護者の間に、もやもやとした不公平感は続きそうです。

コメント

  • 相模原市もすぐ東京、、同じ学校でも補助の額が違うって本当にモヤモヤしています。大学無償化も3人いるとお金がかかるのはわかりますが、2人だってかかります。そもそも子供を多く産めない経済だから2人なのに、
     女性 50代 
  • せめて、同じ学校の中では統一して欲しい。もしくは勤務先が都内とかも含めて欲しい。あまりの差に愕然となる。 国でやって!今すぐ!
    まー 女性 40代