進化した車いすに乗ってみた 坂戸市の小学生が体験学習 重度障害向けにバスケモデル…多様さに驚きの声
加藤木信夫 (2023年12月21日付 東京新聞朝刊)
進化を続けるさまざまな車いすの試乗体験会が11日、埼玉県坂戸市立小中一貫校「城山学園」(同市多和目)で行われた。参加した小学5年生の児童約20人は「指先だけで動かせる」「ベッドみたいに寝られるよ」などと歓声を上げ、日頃の授業で得られない貴重な体験を積んだ様子がみられた。
地域の教育財産で学びの場に
地域の教育財産を活用して、児童・生徒に学びの場を提供することが目的。同学園と、作業療法士や看護師を育成する日本医療科学大(毛呂山町)、福祉用具レンタル業のフロンティア(川越市)がタッグを組み、初めて実施した。
会場の体育館には手動の標準型や複数の電動式、パラリンピックのバスケットボール日本代表モデルなど10台以上の車いすがそろった。電動式には、高齢者らが簡単な操作で買い物に行けたり、座位を取りにくい重度障害者用にリクライニング機能を取り付けたりしたタイプがあった。
参加者の中には祖父母など家族が利用する車いすを見たことがある児童もいたが、多種多様な車両に触れるのはほとんどの子どもが初めて。乗ったり触れたりしながら、あちこちから驚きの声が上がった。
障害種別に応じた多様性を知る
同大学の作業療法学専攻のボランティア学生らから、電動式のスイッチ操作法、標準型のスロープ走行などの手ほどきを受けた男子児童(10)は、「いろいろな障害のある人に対応できる、たくさんの車いすができているのはすごいと思った」とうなずいた。
学園の小峰大吾校長は「車いすには数多くの種類や性能があり、障害種別や状況に応じて使い分けることで、利用者の可能性が広がる。子どもたちが実体験を通じて、車いすの多様性を学べた意義は大きい」と語った。