「異次元の少子化対策」児童手当の拡充で家計はどうする? 貯金すれば200万円、大学進学の費用にも

【第1回】岸田首相が2023年1月に表明した「次元の異なる少子化対策」を受け、子育て世代に向けたさまざまな支援策が2024年度から本格化します。東京都など自治体での独自策も拡充されています。どんな施策があるのか。子育て世代の家計相談に強いファイナンシャルプランナーの八木陽子さんとともに確認していきます。

高校卒業まで対象に 所得制限は撤廃

 まずは児童手当の拡充についてみていきます。

 昨年12月に閣議決定された「こども未来戦略」によると、現在は中学卒業までとなっている支給期間が2024年10月分から、高校卒業(相当含む)まで延長されます。第3子以降の支給額は、高校生まで月3万円に引き上げられます。

 さらに所得制限が撤廃されます。現在は、たとえば会社員と専業主婦(夫)、子ども2人の家庭の場合、会社員の年収が960万円以上の場合は子ども1人につき一律5000円の支給となり、年収1200万円以上は不支給となっています。

 この制限がなくなり、所得にかかわらず月1万円(0~2歳児までは月1万5000円)、年間でみると計12万円(0~2歳児までは計18万円)受給できます。

 「都内だと、所得制限にぎりぎり引っかかってしまう家庭は少なくありません。所得制限の撤廃は子育て世代の安心感につながるでしょう」と八木さん。「0歳から児童手当を貯金すれば約200万円。大学などへの進学に必要な費用の大きな原資となります」と言います。

 投資先として、2024年1月から始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)を活用するのも選択肢の一つとなりそうです。

 ただし、高校生年代(16~18歳)の子どもがいる世帯の扶養控除は、手当と控除によるダブルの優遇を避ける観点から縮小される見込みです。控除の縮小分を差し引くと、恩恵を受ける額は変わってきます。次回、確認します。


【第2回はこちら】児童手当は拡充、扶養控除は縮小…家計の増収はどれくらい? 損する年収帯はある? 2024年10月からの影響を解説〈チェック!子育て家計術〉

〈チェック!子育て家計術〉 出産、子育て、習い事、教育など子育て家庭の出費は何かとかさむもの。この連載では、国や自治体の支援策や子育て家計に役立つ情報をファイナンシャルプランナーの八木陽子さんとともにチェックします。

監修・八木陽子

 東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体キッズ・マネー・ステーションを設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。

コメント

  • ばら撒きは一切止めてくれ。大反対。効果の検証も乏しい中、ある特定層にばら撒きをしようとするから、国民が紛糾し分断が生まれる。 政府は、ばら撒きを止めることで国民負担率を下げ、各家庭の可処分所得を
    George 男性 50代 
  • DV(モラハラ・精神的虐待)で離婚して、元夫と離れた県外でひとり親家庭です。 保育園~大学等までの公立校にかかる費用、幼稚園、フリースクール、専門学校等も無償化にしてほしい。 子どもは3人
    きり 女性 40代