後になって「無理やり学校に行かされた」と言われたら? 子どもの本心に寄り添うには… 経験者と専門家から親へのアドバイス
小学校のこと、高校生になってから…
悩みを寄せた愛知県の48歳は「高校やバイトに今頑張れているのは、嫌がりながらも中学に行った経験があるから」と考えている。同じような経験を寄せる声は多かった。
愛知県豊川市の女性(55)は、小学校高学年だった娘に「学校に行きたくない」と言われたが、「大丈夫。まずは今日行ってみるか」と送り出した。高校生になり友人関係に悩む娘に「小学生の時に無理やり行かされてすごく嫌だった」と言われたという。
「小学校では1人の女児にひどいことを言われていたが、休ませてくれない。お母さんに言っても無駄だと思った」。話を聞くうちに、高校では部活の顧問との関係に疲れ切っていると感じ取り「今日は休む?」と声をかけた。その日は休み、翌日以降に顧問との関係も修復したという。「本心を聞き、深刻な状況かを見抜く力が必要なのでは」。社会人になった娘の愚痴を聞く機会も多く「本気のSOSを見逃さないようにしなければ」と語る。
「あの時はごめんね」だけで救われる
子どもに寄り添う意見も目立った。愛知県の女性(43)は、小学校3、4年のころに級友との関係に悩み体調を崩したが、母親に「泣いていようが担いででも学校に連れていかれた。自分が悪いと考えて、とにかくつらかった」。思い出すと今でも憂鬱(ゆううつ)だという。
母親には「あの時無理にでも行って良かった」と言われる。自身の経験から「今頑張れているのは学校に行ったからと親が考えていると知ったら、娘さんはとても苦しいと思う」。勧めるのは子どもを思いやること。「行けない時間を乗り越えたのも、今があるのも、自分の頑張りだった、とお母さんには言ってほしい。あの時はごめんね、と言われるだけで救われる」と書いた。
愛知県の男性(46)は、不登校の中3の息子と向き合う経験から「学校に行けない」という思いや理由は本人にも理解できないと感じるといい、「学校は行くべき所、という常識をまず大人が取り払っては」と提案。「行きたくないけれど行ったという点を理解してあげたら、娘さんも楽だったかも」と気遣う。
「そうだったんだ」「どんな思いだったの?」まず率直に受け止める
「行かなくてもいいよ」と言うと…
登校したがらない子にどう声をかけるか。高岡さんは、「『無理して行かない方がいい』が一番正しい」と勧める。例えば「行かなくてもいいよ」だと、できれば行ってほしいというニュアンスが言外に伝わる。
一方、子どもが登校を渋っても「行ってほしい」と考える保護者は多い。公認心理師の佐藤めぐみさんは「休むと学習が遅れると考えるのは親として自然」と話す。さらに「子どもによっては都合よく響く場合もある」とも。例えば「ゲームをしている方が楽しい」という理由で登校したがらない場合などだ。
基準は「個人で解決できる問題か」
不登校や登校を渋る理由は多岐にわたるため「それぞれの理由や背景をしっかり理解した上での判断が求められる」と佐藤さん。判断基準の一つとして「個人で解決できる問題なのか」を挙げる。
いじめに1人で対処することは難しく、大人が寄り添う必要がある。高岡さんは「危機管理と一緒で、最悪の場合の想定が必要」と指摘する。子どもは大人に気持ちを伝えられない場合が多い。「もし明らかないじめがあれば、『行け』とは言わないはず。大事な子どもを避難させてほしい」と話す。
話しやすいよう促し、理解を深める
「無理やり行かされた」と子どもが言う場合にはどうするか。佐藤さんは「恨んでいる場合も、感謝を込めたニュアンスの場合も考えられる。『どんな思いだったの?』などと話を深めるきっかけになるといい」と促す。子どもの思いに寄り添いつつ、気持ちを理解できていたか振り返る機会になるかもしれない。「そうだったんだ」「どんなところがつらかった?」と子どもが話しやすいように促せば「当時言えなかったことでも話してくれるかもしれない」という。
高岡さんは「ごめんね、言ってくれて、いまわかった」などと率直に受け止めることを勧める。「親にはっきりと告げられるのはいいこと。意見を受け止めずに関係が崩れてしまうと台無しになるので、受け止めることが大事」と話す。
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