「子ども3人以上で大学無償化」年の差でこう変わる 年子なら9年分、2学年差なら6年分 第1子が扶養を外れると対象外
公平と言えない…不満の声
「あまり公平な制度とは言えず、少子化対策になるとも思えず、私の周りでも評判はよろしくないですね」。3人以上の子育て世帯に対する大学無償化について、ファイナンシャルプランナーの八木陽子さんは指摘します。
こども未来戦略によると、2025年度から国公立大は年間の授業料約54万円と入学金約28万円、私立大はそれぞれ約70万円と約26万円を上限に免除します。所得制限は設けず、医学部など6年制の学部や短大、専門学校も対象となります。
ただ対象は、扶養する子が3人以上いる場合に限定されているため、たとえば3人きょうだいの場合、1人が就職などで扶養を外れると無償化の対象から外れるという立て付けになっています。
年が離れれば恩恵は少なく
3人きょうだいで第1子が4年制の大学に進学した場合、その子は学費が4年分無償化の対象です。ただ、4年で卒業して就職した後は「扶養する子ども」は2人になるため、下の子は無償化の対象外。「年が離れているきょうだいだと恩恵は少なくなります」
例えば3人きょうだいが全員4年制大学に進学すると仮定した場合、三つ子なら12年分の授業料が無償化の対象。一方、それぞれ年子なら9年分、同じく2学年差なら6年分、最年長と2番目が4学年以上離れていると最年長の4年分だけが無償化の対象となります。
2人だって楽ではないのに
同じ3人きょうだいでも、子どもの生まれた時期や進学先などで有利・不利が決まるため、「財源の問題で最初から絞っているのか、旗を振った割にはこれから産みたいと思えるような制度ではないですね」と八木さん。「2人の子育ても決して楽ではありません。声を上げることで、制度が良くなることを期待します」
次回も3人以上の多子世帯向け支援について確認します。
【次回はこちら】第3子の児童手当が倍増、でも年齢差に注意 「第1子が22歳になった年度末」を過ぎると第2子扱いに〈チェック!子育て家計術 第4回〉
監修・八木陽子
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体キッズ・マネー・ステーションを設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。
コメント