輪島の小中学生へ電子書籍600冊、立川市が無料で貸し出し 図書館が再開できない被災地へ
岡本太 (2024年3月13日付 東京新聞朝刊)
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市で、市立図書館などが休館していることを受け、東京都立川市は12日、約600冊分の電子書籍を読める「たちかわ電子図書館」のサービスを、輪島市の小中学生らに無料で開放した。立川市によると、能登半島地震の被災地に対する支援としては、都内の自治体で初の試みだという。
同じシステムを採用していた両市
震度7を記録した輪島市では、市立図書館などで多くの本が棚から落下し散乱。建物自体には大きな損傷はなかったものの、市職員は市内の復旧業務に追われているため図書館は再開できていない。各学校の図書館も多くが再開できておらず、子どもたちは被災前のように自由に本を読むことができない状況が続いている。
こうした中、電子書籍の貸し出しサービスで、輪島市と同じシステムを採用していた立川市が支援を申し出た。両市間で覚書を締結した上で、12日から輪島市の小中学生約1240人と教員に対して、電子図書館を利用できるようにした。被災地復興の見通しが立つまで当面続けるという。
輪島市の子どもたちが読めるようになるのは、立川市が市内の小中学生に開放している絵本や童話、図鑑など子ども向けの電子書籍585点。スマートフォンやタブレット、パソコンなどで閲覧できる。4月以降は、さらに197点を追加する。立川市と輪島市の複数の子どもが、同じ電子書籍を同時に借りることもできるという。
立川市の酒井大史市長は「復興の途上で、つらい思いもしている子どもたちに読書を通じて笑顔を届けたい」と語った。