横浜の古民家がフリースクールに 不登校が増える金沢区 キャリア教育NPOが開校へ

志村彰太 (2024年4月5日付 東京新聞朝刊)
 学校で職業講座や居場所カフェの運営をしているNPO法人「アスリード」(横浜市都筑区)は8日、横浜市金沢区で、不登校の子どもを受け入れるフリースクールを開設する。これまで手がけてきたキャリア教育を生かし、将来への夢を抱けるよう支援したいという。

武政祐さん

元中学校長が校長に 企業から協賛金

 アスリードは2019年に金沢区出身の武政祐(たすく)さん(36)が設立。神奈川県内企業の仕事の魅力を紹介する冊子「みらい百花」を編集・制作して学校に配布したり、連携先の企業とともに職業講座を開いたりしている。川崎市立高津高校定時制では、居場所カフェも運営していた。

 中高生ら10代の若者支援に特化して活動してきたが、小学生と大学生にも対象を広げようと考えていたところ、金沢八景駅近くにある築80年超の古民家を改装し、交流拠点「せとさんち」を運営している大学生グループの存在を知った。声を掛け、施設を借りることが決まった。

 フリースクールの名称は「アスリードSAKURA スクール せとさんち校」。武政さんが事務局長、元中学校長の男性が校長を務める。高津高の居場所カフェに通っていた元不登校当事者や、「せとさんち」を運営する大学生も参加する。毎週月曜午前10時~午後4時に開設し、小学4年~中学3年の8人をめどに受け入れる。月謝は月1万5000~2万円を想定するが、企業から協賛金を集めるなどして、各家庭の負担を抑えたい考えだ。

毎週月曜にフリースクールとして使われる「せとさんち」=横浜市金沢区で

挑戦して、可能性に気づくきっかけを 

 運営方針は「自己肯定感を高めること」。まずは自然体験や街歩き、地域の祭りへの参加を通じて日常に楽しさを見いだしてもらう。慣れてきたら、連携先の企業で職場体験したり商品開発に挑戦したりして、自身の能力や可能性に気づくきっかけを与える。

 神奈川県教委の統計などによると、金沢区内の不登校児童生徒は増加傾向にあり、2022年度は453人に上るが、フリースクールは1カ所しかなかった。武政さんは「出身地の社会課題を解決したい。キャリア教育の強みを生かし、フリースクールのモデルを構築していく」と意気込んでいる。

 詳細はアスリードのホームページに記載している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年4月5日