高校入学時のPC・タブレット購入が大きな負担に 平均6万~8万円台 経済的に困っている家庭への調査
公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京都千代田区)が今春、経済的に困窮している家庭を対象に実施したアンケートで、高校入学時のパソコン、タブレット費用が高額なケースがあり、家計への負担感が大きいことが浮き彫りになった。同法人は実態の把握や国の支援を求めている。
「ハイスペック機種を指定」
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、生活上の困難があり経済的に困っている一定条件を満たした世帯に対し、中学・高校の入学にかかわる費用として、子ども1人当たり中学入学時3万円、高校入学時5万円の「子ども給付金」を支援している。アンケートは2024年春、給付金の利用世帯を対象に実施し、全国の保護者564人、中高生234人が回答した。
その結果、高校入学時は私立で約7割、国公立でも半数近くがパソコン・タブレットの購入が必要だったと回答し、平均額は6万~8万円台だった。自由記述では「パソコンや電子辞書などかなり高額な費用が必要。購入費用は家族が負担しなくてよい方法を取ってほしい」「ハイスペックなパソコン、携帯を購入するよう指定されたため、とても費用がかさんだ」などの声があった。
補助がある国公立は約4割
国のGIGAスクール構想で、国公立の中学はタブレットが実質無償提供されているものの、高校は自治体や学校によって保護者負担か公費負担かは対応が異なり、補助があるのは国公立で約4割にとどまった。中学でも、家庭でのネット環境整備や機器の故障などによる追加費用など機器本体以外の負担が生じていた。
中学・高校の就学援助として、入学前に支給される準備金の適切な額について尋ねたところ、中学1年生の保護者の約6割、高校1年生の保護者の約8割が「7万円以上」と回答。高校1年生の保護者の約半数は、経済的理由で高校就学を続けられない可能性があると答えた。
また、約8割の中高生と保護者が制服や運動着について、約6割の中高生が部活動やクラブ活動費についてそれぞれ支援を求めている。
支援制度の拡充などを提言
アンケート結果を受け、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは国や関係省庁、自治体に対し、
- 学校指定品以外の選択を可能にし価格を見直す
- 新入学にかかる費用の支援制度を拡充する
- 高校入学前の準備金制度を創設する
- パソコン・タブレット代の負担に関する実態を把握し国による助成を拡大する
- 部活動・クラブ活動の費用の財政的措置を講じる
の5点を提言し、子どもの学ぶ権利を保障するよう求めている。