「体験格差」解消へ奨学金 困窮家庭の支援団体が全国展開「子どもたちの諦めを放置しない」

榎本哲也 (2023年7月4日付 東京新聞朝刊)
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子どもの体験格差解消について話すチャンス・フォー・チルドレンの今井悠介代表理事(右)ら=4日、東京・霞が関の文部科学省で

 習い事やキャンプなど野外活動といった学校以外での体験活動ができない生活困窮家庭の子どものために、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(CFC、東京都墨田区)は4日、東京で創設した奨学金の全国展開を始めると発表した。2025年度までに子どもたち1000人の支援を目標に、経済格差を理由とした体験格差の解消を目指す。

際立つ経済状態による体験格差

 「学校以外での体験が何もない、やってみたいことを諦める『体験』ばかり繰り返している。子どもたちのそんな状態を社会が放置して良いのか。体験活動は成長の糧、学ぶ土台になる」。CFCの今井悠介代表理事は、会見でそう強調した。

 CFCは2011年に設立。経済格差による教育格差の解消のため、子どもたちが学習塾などに利用できるスタディークーポンを提供する活動をしている。

 CFCは昨年10月、体験格差の実態を調査。小学生の子どもがいる世帯の保護者2097人にウェブで調査。その結果、水泳、音楽、キャンプ、旅行などで、家庭の経済状態による体験格差が際立っていた。

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1人8~10万円のクーポンを配布

 調査を踏まえ、昨年度から体験奨学金「ハロカル」を開始。寄付で集めた資金を原資に、使い道を限定した電子クーポンを1人年8万~10万円提供し、子どもたちがスポーツクラブやキャンプなどに参加する費用に充てる。都内の小学生の子どもを持つ経済的困難な家庭を募集し現在、墨田区など東京東部7区の58人が利用している。

 今後、全国の子ども支援NPOなどを通じて呼びかける範囲を広げる。本年度は東京のほか、宮城県石巻市、岡山市、那覇市の団体が取り組む。

 CFCは、支援の原資となる寄付をクラウドファンディングで8月末まで募っている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年7月4日

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  • わんわんず says:

    とてもうらやましい取り組みですね。わたしが小学生の時代にこんな取り組みがあったら…と思いました。

    ただ、その時分にこのような取り組みがあったとしても、親がこの活動をキャッチし、理解できて申請できるだろうかと思いを巡らしたら、恐らく無理だろうなと。

    習い事はおろか、ランドセルも買い与えられなかった自分には、いくら子どもにやりたい意欲があっても、親の無理解や無関心の前には自分の無力さやあきらめしかなかったことが悔しくてなりません。

    ひとりでも関心を寄せられる活動であってほしいと願うばかりです。

    わんわんず 女性 50代

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