同性カップルも配偶者として集計してほしい LGBT団体が国勢調査に要望 専門家「多様な家族形態、正しく把握を」
奥野斐 (2020年8月20日付 東京新聞朝刊)
9月から国勢調査が始まるのを前に、性的少数者の団体などが19日、オンラインで記者会見し、同性カップルを調査対象として集計・発表するよう国などに要望書を出すことを明らかにし、「同性カップルも家族。きちんと数え、行政施策に生かしてほしい」と訴えた。
世帯主と配偶者が同性だと「他の親族と同居」に
会見した同性婚の実現を目指す一般社団法人「Marriage For All Japan」などによると、調査票の性別欄は男女の2択で、世帯主と配偶者が同性の場合、「他の親族と同居」として集計される。住居と生計を共にする親族同士という分類になり、世帯主が、おいやめいと暮らしている場合などが当てはまるという。
異性の事実婚カップルは婚姻している男女と区別なく集計されるが、同性カップルは集計も把握もされない。総務省統計局統計調査部の担当者は「現状の日本の婚姻制度は異性間が前提のため」と説明する。
パートナーシップ制度での「承認」はすでに1000組超
専門家として会見に参加した金沢大の岩本健良(たけよし)准教授(社会学)は「現実の多様な家族形態を統計的に正しく把握しないと、それぞれのニーズをふまえた適切な支援、施策が十分に行えない」と述べ、調査の改善を求めた。
2015年の東京都渋谷区、世田谷区を皮切りに、同性カップルを承認する「パートナーシップ制度」を導入した自治体は全国50以上に増え、証明書類の交付組数は1000組を超える。