「アームリング付き浮具」で3歳児事故 前後の向きを反対に着用すると、うつぶせになり溺れる恐れ
今川綾音 (2024年5月23日付 東京新聞朝刊に加筆)
国民生活センター(本部・相模原市)は22日、水遊びに使う「アームリング付き浮具」を誤着用していた3歳児が溺れる事故が発生したと発表した。使用する場合は、浮具を正しい向きで着用するよう呼びかけている。
誤って前後反対に着用 一時心停止に
対象の浮具は、左右の腕を通してはめるアームリングと胸部の浮力体が一体となったもの。浮力体が胸側に来るようにし、ベルトを背中側に回して着用する。多くは1~2歳から6歳までが対象。調査によると、国内で流通している商品はほとんどが外国製で、着用時の注意書きも英語のみの表示が多いという。
同センターによると、事故は昨年8月に発生。浮具を着けて屋外プールで遊んでいた男児が、保護者がわずかに目を離したすきに溺れて浮いているところを発見された。呼吸がなく心停止と判断されたが、蘇生措置後に心拍が再開した。事故当時、男児は浮力体を誤って背中側に着用していた。
ライフジャケットとの違い「理解して」
同センター担当者は人形による実験を踏まえ、「背中に着用するとうつぶせになりやすい。水に慣れていない子どもが自力で反転するのは難しく、水面に鼻と口を出せず呼吸ができなくなる可能性がある」と説明。正しい向きを確認して浮力体が体に密着するように着用し、保護者の手が届くところで遊ばせるよう呼びかけた。
担当者は着用の向きを間違える原因として、「アームリング付き浮具」がインターネット上の販売サイトでは「ライフジャケット」と紹介されていることがあり、「保護者が『ライフジャケットのように後ろから羽織り、前で止める』という先入観を持って購入している可能性がある」と指摘。販売事業者やネット販売サイトの運営者に、日本語での適切な表示や商品情報への正しい使用法の記載を求めるとした上で、「消費者にはアームリング付き浮具はライフジャケットとは異なり、命を守るためのものではなく、あくまでのプールで遊ぶ際の補助的な浮具であることを理解してほしい」と訴えた。