どうする保育園入園!? 専門家に聞く「心構え」と「4つのポイント」

(2017年3月3日付 東京新聞朝刊)
 4月から乳幼児を保育園に預けて働く親にとって、期待と不安が入り交じる時期だ。「入園までにきちんとできるようにしなくては」と、焦って子どもをせかしがち。新しい環境に入っていく子どもの心身のケアと、より良い園との関係づくりはどうあるべきか。お茶の水女子大人間発達教育科学研究所(東京都文京区)の宮里暁美教授に聞いた。

「喜びの入り口」ドキドキを大切に

「保育園やこども園に通い始めるのは、喜びの入り口の扉を開けるようなもの。ドキドキしながら開けてほしい」。現在、同大こども園園長を務め、幼稚園教諭としても長年、親子のスタートを見守ってきた宮里教授は話す。

 入園後の生活を心配して特別な準備をするのではなく、そのままの姿で親子で一歩を踏み出すことを勧める。「決して、高いハードルだと思う必要はない」

お迎えが遅れても「ごめんね」と言わないで

 人によっては、親の都合で長い時間預けることに対して、子どもに罪悪感を持つ場合がある。そんなときは「楽しい生活が始まる」という前向きな気持ちで接したい。

 例えば、お迎えがいつもより遅くなったとき。「遅くまで待たせてしまってごめんね」と話しかけると、楽しく遊んでいた体験をマイナスのイメージに変えてしまい、保育士の気持ちも損なわれるかもしれない。「遅くまで元気に遊んでいてくれてありがとう」と伝えることで、子どもの自信につながり、保育士へも感謝として伝わるという。

園庭で子どもに声をかける保育士=東京都文京区で

保育士との信頼関係は「対面」で築く

 最も大切なのは保育士との信頼関係づくり。「不安に思うことがあったら、送り迎えの時などに尋ねて」。疑問を感じたら、ため込まずにその場で口頭で軽く投げかけてみたい。連絡ノートに文章で記入すると、強い言葉になり、自分自身の心の中で憤りが募ってしまいがちだ。対面でのやりとりで解決した方が良い。

 園に対する不安を持ち続けると、そのうちに不満に変わり、さらに不信に至ってしまう。宮里教授はそれを何より心配する。

 保護者にも園を育てる意識を持ってほしいという。「良い点はほめ、不安を感じる点は伝え、双方が育て合う気持ちで付き合って」と強調する。

 ◇留意したい4つのポイント◇

①入園前の面談は具体的に
 普段の生活リズムや、夜や昼寝の際は誰とどのように寝ているかなどを具体的に話す。家庭でどう育ててきたかを飾らずに伝える。

②慣らし保育は焦らずに
 入園後は1週間から半月ほどかけて徐々に保育時間を延ばしていく。スムーズにいかない場合もあるが、近道をしようとすると一番遠回りになってしまうことがある。子どもが「少し頑張れば家の人が迎えに来る。この場所が好きだな」という安心感を積み上げていく重要な過程だと理解する。

③休日はゆっくり過ごす
 新生活の始まりは親も子も疲れるもの。1週間頑張ったから思い切り遊ぼうと遠出するのではなく、慣れ親しんだ近所の公園などでゆっくり過ごすと良い。

④お迎えは5分の余裕を
 夕方のお迎えは、5分の余裕を持って。保育士は、穏やかな表情の保護者には声をかけやすく、園児の一日の様子も伝えやすい。