港区立の保育園に障害・医療ケア児専用クラス 来年1月新設の園 看護師が常駐、最大20人受け入れ

市川千晴 (2019年12月20日付 東京新聞朝刊)
 東京都港区は19日、来年1月に新設する区立元麻布保育園(定員200人)に、たんの吸引など医療的ケアの必要な子どもや障害児の専用クラスを設け、2~4歳の6人を受け入れると発表した。都によると、医療的ケア児と障害児の集団保育は都内で初めて。医療的ケア児を支援するNPO法人は「全国的にも珍しい」としている。

保護者から要望16件 まずは応募の6人が通園

 港区はこれまで、感染症のリスクやケアへの対応が難しいとして医療的ケア児を受け入れていなかったが、保護者から要望が16件寄せられ、保育園新設に伴い、開設を決めた。

 医療的ケア児は2歳から、障害児は生後4カ月から通園できる。定員20人で、開園時は応募があった6人が通う。

 都の医療ケア研修を受けた保育士と看護師が常時同伴する。

「集団保育は画期的。誰もが地域で育つ機会に」

 保育室は2部屋あり、車イスなどで安静に過ごす場所と活動用の場所に分け、体調に応じて一般クラスや行事にも参加し、交流を図る。必要に応じて福祉車両で送迎し、慈恵医科大学付属病院の協力を得る。

 新生児の救命率向上など医学の進歩を背景に、人工呼吸器などの日常的な医療的ケアが必要な児童は年々増加。厚労省の推計によると、18歳未満で全国に約2万人に上る。

 NPO法人地域ケアさぽーと研究所の下川和洋理事は「個別に受け入れている保育園はあるが、集団保育は画期的。小学校内に特別支援学級ができるような形だが、どんな子も地域の中で育ち、生きていける機会になる」と話している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年12月20日