保育士から「休業補償がない」の声 私立園への運営委託費が”弾力運用”で人件費に充てられず
奥野斐 (2020年7月14日付 東京新聞朝刊)
労働組合「介護・保育ユニオン」(東京都世田谷区)は13日、私立の保育所に支給される運営委託費が人件費に適切に使われるよう、使途に制限をかけることを内閣府に要請した。
使途に制限をかけるよう内閣府に要請
運営委託費は国や自治体の公費や、保護者が支払う保育料から園児数に応じて支給される。介護・保育ユニオンには4月以降、民間企業や社会福祉法人が運営する認可保育所の保育士を中心に、休業補償がないなど300件を超す相談が寄せられた。
会見した三浦かおり共同代表は、休業補償が保育士に届いていない背景として「事業者の裁量で委託費を弾力運用できる制度上の問題がある」と指摘。国は6月17日に都道府県などに通知し、通常通りの賃金や賞与などを支払うよう事業者への指導を求めたが、三浦さんはさらに踏み込んだ制度改善が必要と訴えた。
会見に同席した20代の女性保育士は「委託費の弾力運用で人件費が削られ、現場では少ない保育士で大勢の子どもを見なければいけない。経営者は子どもや保育士のことをもっと考えてほしい」と話した。