性犯罪歴のない証明書、男性シッターからも「必要」との声 保育者も自信を持って働けるように
「男性というだけで性犯罪者のように扱われるのは残念」
会見では保育教育現場に就業しようとする人について、犯罪歴をチェックし、希望者に「無犯罪証明書」を発行する仕組みが「日本版DBS」として提案された。DBSは「ディスクロージャー・バーリング・サービス」の略で、英国で導入されている仕組み。個人の犯罪履歴がデータベース化され、一定年齢以下の子どもとかかわる人はボランティアも含めすべて照会され、犯罪履歴がないことを証明してもらうという。
シッターとして10年以上のキャリアがあり、「無犯罪証明書を求める現場ベビーシッターの会」代表の参納初夏さんは「ベビーシッターという訪問保育は、フレキシブルに家族をサポートでき、子育て家庭を包括的に支援できる」と意義を強調。「子どもたちが安心でき、親御さんが安心して預けられ、保育教育現場にかかわる人が自信を持って働くことができるようにしたい」と訴えた。
参納さんは、会のメンバーの男性シッターのコメントも紹介。「私は男性シッターとして親御さんや子どもたちに不安を感じさせないよう自身を平素から客観的に振り返っています。中でも性犯罪はほとんどが男性保育者によるものなので、自身のふるまいが該当しないかを特に気にしています。男性シッターのニーズがあるのに、選択肢が失われ、男性というだけで性犯罪者のように扱われるのは残念に思う。性別にかかわらず保育と教育の現場にかかわるスタッフ全員の信用を守るためにも日本版DBSの導入を求めます」。
オンライン署名を実施中 賛同者を集め、政治家に要望
「無犯罪証明書を求める現場ベビーシッターの会」が政府などに対し、シッターへの無犯罪証明書の発行を求めて6月から続けているオンライン署名には、1500を超える賛同が集まっているという。参納さんは「1日も早く実現させたい。関心のある政治家に届け、要望していきたい」と話した。
会見を主催した認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事も「国内では性犯罪の前科者であっても、保育教育現場に戻ることができ、事業者側も前科を確認する手だてはない。今回のような事件をこれ以上増やさないためにも、社会全体のルールを整えなくてはならない」と訴えた。