保育中の子を性犯罪から守るため「シッターの犯歴確認」求める声高まる 英国で先例も、日本では「人権面」で高いハードル

(2020年7月15日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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ついたての後ろから、保育・教育現場での性被害ゼロを訴える被害者の保護者=14日午後、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで

 保育中の子どもへの強制わいせつの疑いで、ベビーシッターの逮捕が続いたことを受け、関係者の間で、保育・教育現場での性犯罪防止策を求める声が高まっている。保護者らは14日に東京都内で記者会見し、シッターや教員に「無犯罪証明書」の提出を義務付ける仕組みの新設を求めた。犯罪歴の提出を義務付ける国もあるが、そうした制度の導入は、日本では、人権や個人情報保護の観点からハードルが高いとの見方もある。 

運営会社「危険性見抜くのは難しい」

 「(シッターに)性犯罪者が紛れている可能性に考えが及ばなかった」。会見で保護者の一人はそう話した。4月にマッチングサイト「キッズライン」を通じて契約したシッターは、保護者が新型コロナで在宅勤務中、隣室や公園のトイレで長女(5つ)にわいせつ行為をした。


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 保護者は「氷山の一角だと思う」と無犯罪証明書の必要性を唱えた。このサイトに登録していた別のシッターも、昨年11月に同種の事件を起こした。

 事件は防げなかったか。キッズライン社は取材に対し、逮捕された2人のシッターは保育士免許を持ち、トラブル報告もなかったと説明する。同社は「選考過程で過去の報道等を可能な限り確認しているが、有罪判決や逮捕歴がない場合には、小児性愛者などの危険性を見抜くことが難しい」と文書で答えた。

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14日午後に厚生労働省記者クラブで開かれた会見の様子

英国では政府発行の犯歴証明書を提出

 シッター事業は、保育士や看護師の資格がなくても、研修受講などの要件を満たせば都道府県への届け出で始められる。マッチングサイトのシッター選考や研修方法は企業に任されている。

 事件を受け、現役シッターらは6月から、シッターへの無犯罪証明書の発行を求める署名をネット上で始めた。代表の参納初夏(さんのうはつか)さんは「犯罪歴がある人が保育・教育現場に入れない仕組みが必要だ」と話す。

 英国では、一定年齢以下の子どもと関わるシッターや教員などは、政府発行の犯歴証明書を就職先に提出しなければならない。雇用側は性犯罪などの犯歴がないか確認した上で採用できる。

野田聖子元総務相「犯歴証明、人権面で厳しい」

 だが、英国のような仕組みだと犯歴を就職先に知られる可能性がある。子どもへの性犯罪防止に取り組む自民党の野田聖子元総務相は「当初は犯歴証明も検討したが、人権面で厳しく、時間もかかる。まずは(シッターや教員の)欠格事由を広げる法律で網をかけ、子どもの人権を守れるようにしたい」と話す。

図解 性犯罪前科が2回以上ある人の割合

 保育士は児童ポルノ単純所持による罰金刑やその他の禁錮以上で、保育士として働くのに必要な「保育士登録」が取り消されても、2年で再登録可能。教員は児童ポルノ単純所持の罰金刑では免許を失わない。懲戒免職処分を受けて免許を失っても、3年で再取得できる。一方で、子どもへの性犯罪者の再犯率は高い。

 自民、公明両党内では、児童ポルノの単純所持で罰金刑を受けた場合も、教員免許を取り消すよう関連法改正を模索する動きがある。シッター事業者らに対し、子どもへの性犯罪を未然に防ぐ措置をとる努力義務を課すための法改正も検討している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年7月15日

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