学校でのマスク「常時着用」文科省が見直しへ 熱中症対策を優先 小児科医会も「苦しかったら早めに外して」
坂田奈央 (2020年8月5日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
新型コロナウイルスの感染防止のために学校で生徒や児童が着用するマスクを巡り、文部科学省は「基本的に常時着用」とする指針を見直し、状況に応じて取り外すよう促す方針を固めた。近く新たな指針を全国の教育委員会に通知する。夏休みを短縮して授業を行う学校が多い中、マスク着用による体調悪化が懸念され、熱中症対策を優先するよう周知する。
「身体的距離が取れない場合は着用」に
文科省は6月に作成した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を改訂する。マスクについて「基本的には常時着用」との文言を外し、代わりに「身体的距離が取れない場合は着用」とする。取り外すかどうかの判断材料として暑さ指数などを明示し、学校現場が生徒や児童への指導をしやすくする。
現在のマニュアルでも「熱中症などが発生する可能性が高いと判断した場合はマスクを外して」と記載していたが、柔軟な着脱が浸透せず、子どもが常時マスクを着用していることを心配する声が上がっていた。
小児科医からも助言 授業中も話さない時は外していい
子どものマスク着用については、小児科医の団体も熱中症のリスクを考えて対応するよう提起している。日本小児科医会は4日、登下校や休み時間などに暑さや息苦しさを感じたら早めにマスクを外すよう呼び掛けるメッセージを出した。授業中も話す機会がない時はマスクを取ることを推奨。一方でバスや電車の中、人混みでは着用するようアドバイスしている。
給食時は机をロの字やコの字型に並べ、机を挟んで子ども同士の距離が1メートル以内にならないようにした上で、向かい合って互いの顔を見ながら楽しく会話を、と呼び掛けている。
日本小児科学会も6月、特に2歳未満の子どもは正しくマスクを着けることが難しいため、感染予防の効果は期待しにくいと指摘。逆に窒息や熱中症の恐れがあるとして、注意喚起している。