子どもの脱水症避けるには? 水分が十分か自信ない親8割 「ゴクトレ」で楽しみながら習慣に 

(2019年5月31日付 東京新聞朝刊)
 各地で猛暑日を記録するなど、早くも暑さ対策が必要になってきた。特に、幼い子どもは脱水症になりやすいため、大人以上に水分補給が大事だ。ただ、遊びに夢中でなかなか飲んでくれなかったり、甘くないお茶や水は嫌がったりと、一筋縄ではいかないことも多い。夏本番に向け、こまめな水分補給を意識づけるにはどうすればいいのか。
 
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「自分からは欲しがらないので足りているのか心配」

 東京都杉並区の主婦、中牟田優子さん(34)がヒヤリとしたのは酷暑だった昨年夏。1歳半だった長男を夏祭りに連れていった時のことだ。気温30度を超えていたため外出前にしっかりお茶を飲ませたつもりだったが、1時間ほどで長男は気分が悪くなるなど熱中症気味になった。

 長男にはこまめに水分を取らせることを心掛けていた。ただ「一口飲んで終わることもある。喉が渇かないと自分からは欲しがらないので量が足りているのか心配」。不安が的中したのが、夏祭りだった。

量はどれくらい? 自信がないという親が8割

 同じ心配をする親は多い。アサヒ飲料が昨年6月、夏場の水分補給について3~5歳の子どもを持つ母親300人に調査したところ、「どのくらいの量を与えればいいか分からない」「量が十分か自信がない」という選択肢に対し、「あてはまる」と答えた人の割合はいずれも8割に上った。

 小児科医の首里京子さん(40)=東京都港区=によると、子どもは腎臓などの水分調節の機能が未熟なため、水分が汗や尿として体の外に出ていきやすい。また、身長が低く、地面からの照り返しを受けやすいのも脱水症になりやすい原因だ。環境省によると、大人の顔の高さで気温が約32度のとき、幼児の顔の高さでは約35度になるという。

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幼児教室で「ゴクトレ」をする親子=東京都杉並区で

コップ2~3口を決まったタイミングで飲ませよう

 だからこそ水分補給が欠かせないが、摂取すべき量は年齢や体格、食事内容で変わるため「一概に目安を示すのは難しい」。そこで首里さんが勧めるのが、自ら監修した水分補給のトレーニング「ゴクトレ」。コップ2~3口の分量(50~100ミリリットル)を、起床時や食事、おやつの時、散歩や外遊びの前後など毎日決まったタイミングで飲み、水分補給を日々の習慣にすることを目指す内容だ。

 飲む物はカフェインが入っていない麦茶か水が基本だ。緑茶やウーロン茶はカフェインを含むので注意。スポーツドリンクは汗をかいた時の塩分補給には有効だが、砂糖も多く含まれるため「普段の水分補給では、なるべく控えたほうがいい」。

親がおいしそうに飲む姿を見せよう

 ただ、お茶や水は苦手な子どもも。「まずは水分補給が楽しくなる仕掛けを」と首里さん。お気に入りのコップを選び、「マイコップ」として持たせるだけでも効果がある。加えて、頑張って飲めたときは「ごっくんできたね」とほめることも子どもにはうれしい。

 脱水症は、ある程度進まないと、顔が紅潮したり体温が上昇したりといった症状が出ず本人も周囲も気付きにくい。「ごはんを食べたら歯磨きをするのと同じ感覚で、親子一緒に水分補給のトレーニングをしてほしい」と首里さんは話す。

 「親がおいしそうに飲む姿を見せることが大事」と言うのは、元名古屋学芸大ヒューマンケア学部教授で社会福祉士の坂鏡子さん(62)=愛知県知多市。「『飲めるかな』と心配そうに見守るより、子どもがまねしたくなるような手本を示してほしい」と呼び掛ける。

 

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