菅内閣きょう発足 安倍政権から引き継ぐ「子育ての課題」は? 待機児童が減っても「保育の質」への不安は深刻
聞き手・平井一敏 (2020年9月16日付 東京新聞朝刊)
きょう9月16日、臨時国会が召集され、安倍晋三首相の後継として菅義偉(すがよしひで)首相が誕生、新内閣が発足する。2012年12月から、歴代最長となる7年8カ月にわたって続いた第2次安倍政権は、私たちの暮らしをどう変えたのか。「子育て」をテーマに日本総合研究所上席主任研究員・池本美香さんに聞いた。
保育無償化も始まり現場に負担 保育士は不足、事故が増えて…
保育施設が増え、希望しても保育所などに入れない待機児童数は4月時点で約1万2千人と、ほぼ半減した。昨年10月からは、1日最大11時間までを対象に幼児教育・保育の無償化も始まった。ただ、長時間保育のニーズが高まったことで現場の負担は増大。子どもを預かることができる時間を短くするなど、ゆとりを持って保育ができる政策を打ち出せず、保育士不足はさらに深刻に。施設で子どもが大けがなどをする事故も増加傾向にあり、保育の質への不安が強まっている。
子どもにとってどうか、の視点から「安心して過ごせる」保育を
午後6時半以降も利用できる放課後児童クラブも増えた。子どもを長く預けて働きやすくなり、女性の就業率は8割に迫る。しかし、保育は保護者の就労支援のためだけではなく、子どもが安心して楽しく過ごせることが大事。そうでなければ「産みたい」「育てたい」と思えず、昨年の出生率は1.36と4年連続で低下した。子どもオンブズマンといった独立機関を設けて保育の現状を調べ、子どもにとってどうかの視点から政策を見直すべきだ。
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