児童手当を削って待機児童対策に? 政府が高所得世帯への特例給付・月額5000円の廃止を検討 「少子化対策に逆行」と批判も

川田篤志 ( 2020年11月14日付 東京新聞朝刊)

 政府は、児童手当で高所得世帯向けに子ども一人当たり月5000円を給付する特例を来年度から廃止する検討に入った。年収の判定基準を世帯で収入の多い方から「夫婦の合計」に変更して対象を絞り込む案も浮上。待機児童解消の財源不足を補う狙いだが、子育て支援の予算を削って付け替えるようなやり方は、少子化対策の充実を掲げる菅義偉首相の方針に合わないとの指摘も出ている。

※政府・与党は12月10日、高所得世帯向けの給付を一部廃止することで合意。夫婦のうちどちらかが年収1200万円になれば支給を打ち切る方針となりました。

【関連記事】児童手当の打ち切り「夫婦どちらか年収1200万円以上」で決着 子ども61万人が対象外に

4人世帯なら年収960万円が目安

 所得制限により児童手当を減額される特例給付を受給したのは2018年度に約100万人で、支給総額の約900億円のうち3分の2は国費。所得制限は夫婦共働きでも収入が多い方を基準にしており、配偶者と子ども2人が扶養に入る4人世帯なら年収960万円が目安となる。

 支給の削減を検討する背景は、首相の思い入れが強い待機児童対策の財源不足だ。

 内閣府は2024年度、新たに約14万人分の保育の受け皿が必要になると推計。関係者によると、待機児童の解消に千数百億円が必要と見込まれ、財源捻出の一環として児童手当の縮減案が浮上した。

与党からも異論「大問題になる」

 子育て支援策の中で財源をやりくりする「パイの奪い合い」は、少子化対策を充実する方針にそぐわず、野党だけでなく与党からも異論が出ている。自民党の衛藤晟一前少子化対策担当相は、児童手当の金額を据え置いて特例給付の廃止に踏み切れば「政府の姿勢を問われる大問題になる」と記者団に指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表はツイッターで「子ども向け予算をけちってはならない」と強調した。

 政府は12月の2021年度予算編成までに結論を出す方針。影響を受ける世帯が多いことから、所得制限の基準額の引き上げや、多子世帯への児童手当増額も合わせて検討するが、待機児童対策の財源確保は「非常に厳しい」(坂本哲志少子化対策担当相)としている。

中央大の山田昌弘教授(家族社会学)の話 

 高所得世帯向けの特例が廃止されれば、若者世代がもらえたはずの手当がなくなるんだと萎縮し、第2子、第3子はやめておこうとなる。少子化対策には完全に逆行する。予算を削るのではなく、全体を底上げすべきだ。

児童手当とは

 中学校卒業までの子どもを養育する人に国などが支給する。1人あたりの月額は3歳未満が1万5000円、3歳から小学生が1万円(第三子以降は1万5000円)中学生は1万円。所得制限があり、養育する人(夫婦共働きの場合は収入が多い方)が限度以上の場合は「特例給付」として月額5000円を支給。所得制限は扶養親族の数によって異なるが、扶養親族が2人なら収入917万円、3人なら960万円が目安。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年11月14日

【2020年12月11日追記】特例給付廃止について政府・与党の方針が決まったため、説明を加えました。

コメント

  • 子どもの為、と銘打っているのに、親の所得で制限を掛けるのは不当。 また、財源の問題でどうしても制限が必要ならば、高校無償化の様に、世帯合算の収入で制限をかけないのはおかしい。
     
  • 本当に少子化をどうにかしたいと思ってはいないようですね。 私たち庶民は健康で子供を産めたとしても金銭面的な理由で産み控えていますので、その問題を何とかしない限り高所得の方に産んでもらうしかないのに、