認可保育園が閉園を強行、印西市が認可取り消し 保護者「認可だから安心していたのに無責任」
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保育士にも知らせず、突然
運営会社「NCMA」(東京都新宿区)は10月半ばに突然、保護者に対し同月末での閉園を手紙で通知。経営悪化や人員不足を理由とした。印西市は運営会社から事業廃止の申請を受けたが、転園の準備時間がなく、保護者の意向も受けて同月末に不承認にした。
長男(2つ)を通わせていた市内の派遣社員の女性(40)にも10月18日に通知が届いた。夫は単身赴任中で、自身も仕事が決まり、7月に長男が通園を始めたばかりだった。通知を受けた翌日に園に相談すると、保育士らにも閉園は知らされていなかった。
10月時点で在籍していた園児3人のうち、元々転園予定だった1人を除く女性の長男と別の1歳児の2人が、11月以降も在籍を予定していた。
玄関の錠が取り換えられ…
保育士らは自主的に2人の保育を続けようとしたが、10月31日に園を訪れると、玄関の錠が取り換えられ、扉に「閉園手続きに向け保育業務をお休みします」と紙が張られていた。
運営会社から直接の説明がないまま、女性は転園を決意。なんとか私立の園を見つけたが、短時間の「慣らし保育」の間、仕事を休めない日は、にこにこルーム原山にいた保育士に公民館で、長男の面倒を無償で見てもらった。在籍希望だった1歳児も、自宅から遠い別の保育園に移らざるを得なくなったという。
印西市はNCMAが閉園を強行したため、小規模保育の廃業には市町村長の承認が必要とする児童福祉法に違反すると判断し、認可取り消しを決めた。今後、印西市が廃園の手続きを進める。印西市の担当者は「前例がない事態。適正に保育事業ができると判断して認可したので、最後まで続けてほしかった」と話す。
罰則規定なし「制度的問題」
女性は「閉園するなら段階を踏むべきで、子どもは精神的に振り回された」と訴える。保育士らが加入する労働組合「介護・保育ユニオン」の担当者は「民間の保育事業の規制緩和が進んできたが、廃園届け出期間や罰則の規定がないなど、制度的問題がある」と指摘する。
NCMAの担当者は取材に「労働委員会やユニオンと話し合いをしている最中なのでコメントはできない」とした。ユニオンによると、同社は10月末時点で東京都内や千葉県内で、にこにこルーム原山を含め、少なくとも6カ所の小規模認可保育園を運営していた。