保育所のコロナ休園 自治体によって基準はバラバラ、現場は困惑

(2022年2月3日付 東京新聞朝刊)

新型コロナ対策で採用され、保育所内を念入りに掃除するパート職員=大田区で(一部画像処理)

全面休園は過去最多644カ所

 新型コロナウイルスの保育所での感染拡大が止まらない。厚生労働省のまとめでは、全面休園している保育所などは全国644カ所(1月27日時点)に上り、過去最多になった。ただ、どんな状況になれば休園するか事前に示していない自治体もあり、保育所からは「見通しを立てるため、基準を事前に示して」と困惑の声も上がっている。

保育士の腰には消毒用アルコール

 東京都大田区の認可保育所「未来のツリー保育園」。1月31日に訪ねると、パート職員(66)が園内を念入りに掃除していた。新型コロナ対策で昨夏から用務担当で雇われた。河合清美園長は「保育士の掃除の負担が減り、コロナ以外の感染症対策にもなるので助かる」と話す。

 同園では、寒い日でも窓を換気のために少し開け、保育士らは腰に消毒用アルコールを携帯する。送り迎えで来る保護者には、除菌ティッシュで手すりなどの共用部分を拭きながら入ってきてもらう。おもちゃは毎日アルコール消毒。このおかげか、オミクロン株が猛威を振るう中でも、2日夕時点で職員や園児に感染者は確認されていない。

「各保育室の出入り口に除菌ティッシュを置いている」と話す河合清美園長

厚労省通知は「原則開所」だが…

 だが、感染者が出た場合の対応には不安を抱えてきた。大田区の場合、休園の判断は区が保育所と協議して決めるとなっているが、河合園長は「どんな状況で休園になるのか、誰が判断するのかはっきりせず、見通しが立たない。区は、おおよその判断基準や手順を示してほしい」と話す。

 休園については市区町村が判断するが、厚労省は全国一律の基準は設けていない。同省保育課の担当者は「保育環境や地域で状況が違うため、個々のケースで判断してもらっている」と説明。大田区の担当者は「『原則開所』の厚労省の通知に基づき対応している。休園は施設と協議して個別に判断する」と話す。

第6波「いったん休園」が増えた

 全国で認可保育所など約100施設を運営する株式会社の若林雅樹社長は「行政によって休園にする基準はばらばら。第5波までは『なるべく開所して』だったのが、第6波では『いったん休園』とする自治体が増えた印象だ」と話す。

 休園の基準を示している自治体もある。さいたま市は2020年4月、園児や職員が陽性となった場合などの対応フローを作成。陽性者が出た場合、原則翌日から休園し、濃厚接触者を調べるなどした後に、休園を解除する。保育課の担当者は「『預けられないのは困る』という保護者の声はあるが、まずは保育所内の接触を止める、という考えでいったん休園にしている。基本的な対応を示すことで、保育所側や保護者も動きやすいのでは」と話している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年2月3日

コメント

  • 愛知県在住で子供が認定こども園に通っています。 400人規模のマンモスこども園ですが、陽性者が一人でもでると全学年休園になってしまいます。 クラスごとに部屋も分かれていますし、過剰すぎではないかと
    3児の母 女性 40代 
  • 勤務している園が今まさに感染急拡大中です。1月下旬から現在まで、感染者が各クラスから出ており、あるクラスでは担任4名中2名が感染しているにも関わらず、自治体からの、休園はしないとの通達により通常通りの
    ちよこれーと 女性 50代