国「保育所は原則開けて」世田谷区など「登園自粛して」 緊急事態宣言で分かれる判断、親は困惑

, (2021年1月20日付 東京新聞朝刊)
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保育所の登園自粛などへの協力を保護者に求める文書

 新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言で国が「原則開所」とする保育所について、東京都内では独自に登園自粛を求める自治体が出始めている。「感染者の急増を抑えるため」「休ませたい保護者のニーズに沿った」などが理由だが、自治体でまちまちの対応に困惑する保護者も。「保育園を考える親の会」の普光院亜紀代表は「自治体の判断は理解できるが、個々の家庭や仕事の事情は異なる。画一的でない柔軟な対応が必要」と指摘する。

感染者が急増する世田谷区「いきなり休園となるリスク減らしたい」

 「通常保育では感染拡大防止と安全な保育の継続が難しい」。世田谷区は8日、登園自粛の協力をお願いする文書を保護者に出した。

 世田谷区内の保育施設での感染者数は昨年12月、それまでの月平均の約4倍となる40人ほどに急増。今月も増えている。保育認定・調整課の伊藤祐二課長は「感染者が1人出れば、保育士や園児ら濃厚接触者は必然的に多くなる。いきなり休園となるリスクを減らしたい」と説明する。

 感染拡大で預けることに保護者から不安の声もあるといい、「区が登園自粛をすれば、会社側と休業や在宅勤務などの調整がしやすい保護者もいる」。世田谷区は今月、保育のガイドラインを見直し、登園自粛の「弱い要請」ができるようにした。登園率は60~80%を想定し、伊藤課長は「国の開所要請と、保護者側の声の両方を踏まえて対応した」と理解を求める。

文京、目黒、渋谷、荒川区も自粛要請 国は在宅勤務者の負担を考慮

 東京都内では文京区、目黒区、渋谷区、荒川区も、家庭で保育できる人に時間短縮や登園自粛の協力をお願いし、保育料は日割りで減額している。

 昨年春の緊急事態宣言の際、国は縮小保育や臨時休園も検討するよう示し、都内では実際に縮小や休園の対応を取る自治体が相次いだ。在宅勤務中の保護者、特に女性への負担増や、親子のストレスの高まりなどの問題が指摘された。

 こうした点も踏まえ、国は今回「社会経済活動を幅広く止めるものではなく、保育を必要とする人が大幅に減少しない」「子どもが重症化する割合は低い」などと原則開所を求めた。

医療関係の仕事「預けられないと困る」 子どもの気持ちも…

 ただ、保護者側の受け止めは複雑だ。育休中の目黒区の女性会社員(35)は、12日から長男(6つ)と次男(4つ)を休ませたものの、子どもが通いたがり、保育所と相談して今後は週1日預けることにした。「育休中なので休ませた方がいいかなと思ったが、大半の子が普段どおりに通っていた。子どもも友達と遊びたいし、判断が難しい」と話す。

 文京区の認可保育所に年長の子を通わせる母親(39)は、仕事が医療関係で在宅勤務ができず、「子どもを預けられなくなれば本当に困る」と心配する。行事も軒並み中止になり、「せめて友達との生活を卒園まで楽しんでほしい」。

 普光院さんによると、昨春は就労を支える保育所が休園したことで困った親が多かったという。それだけに、国が原則開所の方向性を示したことは歓迎する一方、「自治体が感染状況などをふまえて判断する柔軟性も重要」と指摘。「困っている家庭が保育所を利用できるようにするとともに、子どもの生活や心身の発達にも配慮した対応が求められる」と話している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年1月20日

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  • 匿名 says:

    都内保育士です。
    保育って制度そのものが行き当たりばったりで時代遅れと昔から言われてますが、今回の感染症で露呈されましたね。まるで無策です。保育士が消毒って素人レベルで良いのですね。
    保育士だって人間ですし、家庭がある。医療従事者や公官庁などを支えているのは保育士でもあります。私たちが安全に預からないと世の中が動かない。それを誇りに働いてます。保育園の環境改善、制度改革もよろしくお願いします。

      
  • 匿名 says:

    世田谷区の保育所で働いています。今までは1人でも職員か園児に感染者が出れば2週間休園だと思って、不安だけれど自分たちも感染しないように外食にも旅行にも年末年始の帰省もせず頑張って笑顔で働いてきました。年明け、自園でも職員の感染者が出ました。休園はしませんでした。一気に不安が広がり、保育士の心も尖り始めました。休園しないのは世田谷区の指示です。そして陽性者5名、濃厚接触者7名となりましたが休園になりません。世田谷区の指示です。消毒は職員が行い、業者などは入りませんでした。私も消毒作業に入りました。未就学児を育てています。基礎疾患が自分にも子どもにもあります。自粛してくださればくださるほど「保育の運用に支障がない」として、世田谷区は休園措置を取りませんでした。お陰で次々と感染者が増えています。もちろん対策は今まで以上に続けています。職員の精神力も限界です。心が壊れ始めています。世田谷区はもちろん守ってくれません。休園はしません。おかしくないですか?消毒の間だけでも、休園されると困るんですか?子どもや職員が感染して後遺症が残ったり最悪の場合死に至ってもいいんですか?世田谷区の対応は本当に理解できません。

      
  • 匿名 says:

    保育所で働いています。保育所はしめない。それは仕方ないと思います。仕事の保護者に登園自粛を求めてなんていません。預けなければならない保護者の方には、「できる限りの感染対策をしているから安心してお仕事行ってきて」と言いたいです。でもどんなに気をつけても保育所は三密を回避できません。

    育児休暇中で何故朝から晩まで預ける必要があるのですか?お母さんお家にいるんですよ。一緒に下の子のお世話をしてはどうですか?下の子が眠っている間に上の子を抱きしめてあげてはいかがですか?仕事が休みの日に何故預けるのですか?何故仕事が終わってもすぐ迎えに来ないのですか?今は緊急事態なんですよ。本当に保育が必要な人が困らないために、保育所は開け続けなければならないんです。それが私達の仕事なんです。だから、今はお子さんをみることができる時はみてほしい。それだけなんです。

    小さい時から、保育所に預けっぱなしで、上の子と下の子、二人もみれない。なんて保護者が多すぎます。社会で育てると言う言葉をはきちがえています。できない所は社会で支える。親がどうしたら子育てできるか一緒に考えるのが子育て支援。もし、感染者がでたら保育所はしめざるをえないのですから。だから、みれるときは自分でみる。ひとりひとりがそうしてくれるだけで、保育所の密が、ちょっとでも減り、こども達の感染のリスクが少しでも下げられればいいんです。お仕事やどうしても預ける必要のある保護者とこども達のために。

      

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