園児の屋外活動「マスクなし」に 千葉県が保育園に検討求める

中谷秀樹 (2022年5月20日付 東京新聞朝刊)

知事定例会見で配布された保育園のマスク着用緩和の要旨資料、これを基に保護者らに理解を求めるための園内掲示物も配布する=千葉県庁で

 新型コロナウイルス対策を巡り、千葉県の熊谷俊人知事は19日の定例記者会見で、保育園で行う公園遊びなど屋外活動で「マスクなし」を検討するよう、公立と私立を含む県内約1400カ所の保育施設に近く通知すると発表した。夏に向けた熱中症リスクの回避に加え、表情が読み取れないことによる未就学児の発達への影響を考慮した。一般向けにも、一定の条件下なら屋外でのマスク着用を求めないなど、強制力はないものの「脱マスク」へ向け、県の指針を示した形だ。

子どもの発育など懸念 現場の声反映

 熊谷知事は「県として今の政府の考え方に反しない中で、社会の目を気にするなどの理由でマスク着用したり、子どもの発育などで懸念したりする現場の声をくみ取った」と説明した。

 県は54市町村の担当課に園児のマスク着脱の現状(4月20日時点)についてアンケートを実施。県子育て支援課によると、屋内で着用していた一方、敷地内の園庭は外して自由に遊ばせる事例が多かったが、着用の有無と感染状況に明確な因果関係はみられなかった。

 対応が割れたのは、散歩途中に訪れた園外の公園や広場で、近隣住民から苦情や注意を受けたため、トラブル回避が目的で着用する現状も認められたという。

 また、マスク着用の保育への影響について、「園児同士のけんかが増えた」「逆に減った」と、さまざまな声が聞かれたという。子育て支援課の担当者は「表情が見えないことで気持ちをくみ取れずけんかになるほか、逆に関係が深まらないなど両面の影響がありそうだ」と推察する。

知事「大人が理解して」文書で通知へ

 熊谷知事は「子どもたちの健やかな成長を守るため、大人が理解して認めていただきたい。その辺は地方自治体の役割」とし、保護者や地域向けに今回の考え方を明示した文書も併せて自治体に通知する。

 県は保育施設以外にも、一般県民向けに運動や農工作業中などで、対人距離を1~2メートル確保すればマスクなしを積極的に考えられる-などとした着脱の実践例も示した。着用の是非について政府でも議論が進められているが、熊谷知事は「感染状況を確認した上でバランスを考慮して、必要がない場面でマスクなしを選択しやすいよう、県としてメッセージを整理した」と強調した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月20日