園バス置き去りを登園管理システムで防ごう 人はミスをするから、機械でカバーを…「QRだれドコ」開発に込めた思い
静岡の置き去り事件は別のシステム
川崎幼稚園の園児にはQRコードを記したカードが渡され、登園時に園の入り口でタブレット端末に読み込んで「登園」と登録し、出欠確認をしていた。
事件のあった5日は、バスに乗車した園児6人から職員がQRコードを預かり、園に設置されたタブレットでまとめて読み込んだため、バスに残っていた千奈ちゃんも登園扱いになっていた。
園児ごとのカードで場所と時刻を記録
南野さんは、6月にクラウドサービス「QRだれドコ」の提供を始めた。きっかけは数年前、小学生の息子が放課後スクールの送迎バスに乗りそびれたこと。昨年7月、福岡県の保育園で当時5歳の男児が送迎バスに取り残され死亡した事件を見て、「置き去りを防ぐシステムがないとだめだ」と痛感した。
「QRだれドコ」は、園児に配ったQRコードのカードを園のタブレットで読み取ると、その時の場所と時刻を記録できる。バス乗降時や散歩の際もQRコードを読み取ると、所在地を残しておける。園児の人数が多く把握しきれない場合など、確認漏れの防止に役立てることができる。
その場にいない職員や保護者も、スマートフォンなどで専用サイトにログインすれば、園児の行動履歴を確認できる。
園が子どもの予定をあらかじめ入力することで、予定の園児全員が実際にバスを乗り降りしたかを知らせる機能もあり、置き去りを防げるようになっている。
ランプ点灯や音の通知など機能追加へ
今後の改善案として、園児の置き去りなど異変が起きた時に音で知らせる機能の追加を挙げる。登園管理システム以外では、バス車内に園児が残された際にランプが点灯して車外に知らせたり、人工知能で人を感知する監視カメラを設置したりすることが有効と考える。
南野さんは「最終的には人が確認しないといけないが、確認につなげるバックアップがたくさんあればいい。親が安心して働けて、保育士の負担軽減につながれば」と力を込める。
今回の事件後、南野さんには個人や保育園などから計約30件の問い合わせがあった。問い合わせは、南野さんが代表を務める「フルティフル合同会社」のホームページで受け付けている。