増えてる「小規模保育」って? 現状と特徴を把握しておこう
37市区の実地検査状況、東京すくすくが調査しました
東京すくすく編集チームはこの小規模保育施設について6~7月、関東1都6県の政令市や東京23区など37市区に実地検査の状況を尋ねました。多くの自治体が、新しい施設が多いことなどを理由に検査を優先している状況が浮かびました。
◇「新しい施設が多いから優先」一方で0%の自治体も
保育士の人数や子どもへの接し方などが適切かを確認する実地検査は、さいたま市や目黒区など8市6区では100%実施。「乳児や低年齢の子を預かる施設で、まだ新しい施設も多いので優先している」とのことですが、一方で0%だった自治体もあります。小規模保育施設はここ数年急増しており、2016年度時点で検査体制が整っていなかった自治体も改善してきていますが、保護者としてもチェックの目は欠かせません。
「認可」でも基準はバラバラ C型なら保育士ゼロでも
小規模保育施設は、市区町村の認可施設ですが、3つの型があり、保育士の配置などの基準はそれぞれ異なります。保育にあたる職員が全て保育士資格を持つA型、半分以上が保育士のB型、保育士でなくても知識や経験があり、研修などを受けている保育者でもいいC型(原則定員は10人まで)の3型です。
保育室の面積は、都道府県などが認可する従来の認可保育所と同じ基準です。ですが、園庭がない施設が多く、マンションやビルの一室というところも少なくありません。
どうしてこうなった? 「認可」の種類が増加
子どもを来年度から保育所に通わせるため自治体の要綱を見て、保育施設の種類の多さに驚いた人も多いのではないでしょうか。種類が増えた最大の理由は、待機児童問題などを背景に2015年に施行された「子ども・子育て支援法」に基づき、保育制度が大きく変わったからです。
国が定める基準を満たし、国や自治体から運営費を受け取る「認可」施設には、従来の都道府県などが認可する保育所のほか、市区町村が認可する「地域型保育事業」も加わりました。一口に「認可」と言っても施設のありようはさまざまなのです。主な認可施設・事業をまとめました。
公立 | 設置する市区町村から都道府県への届け出で開設できる。運営が民間の「公設民営」園もある |
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私立 | 社会福祉法人や株式会社、NPO法人など民間事業者が設置、運営する |
小規模保育 | 原則0~2歳児が対象。定員6~19人。保育士の配置基準が異なる3つの型がある |
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家庭的保育 | いわゆる「保育ママ」。保育士や、研修を受けた人などが自宅などで5人以下の3歳未満児を保育する |
事業所内保育 | 企業内にある保育所などで、認可基準を満たし、従業員以外の子も利用できる |
保育所型 | 認可保育所の基準を満たし、都道府県などの認定を受けた施設 |
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幼稚園型 | 幼稚園の基準を満たし、都道府県などの認定を受けた施設 |
幼保連携型 | 幼稚園、認可保育所の基本的に高い方の基準を満たした上で、都道府県などが認可した施設 |
地方裁量型 | 国の基準を元に、自治体が決めた基準に基づいて都道府県などが認定した施設 |
では、どこをチェックすればいい? 専門家に聞きました
3年前に新たに誕生した小規模保育施設。通わせたい保護者がチェックすべき点について、保育事故などに詳しい弁護士の寺町東子さんに聞きました。
◇表情、チームワーク、散歩の様子
「小規模保育施設の特徴は、良くも悪くも、園児、保育者ともに少人数で運営される点です。きめ細かく見てもらえる可能性もありますが、個々の保育者の考えや方針が施設運営や保育に反映されやすいでしょう。通常の保育所・認定こども園・幼稚園など以上に、保育者の人柄や、保育者同士の関係、保育者と子どもとの関係を確認する必要があります。
施設の見学や散歩中の様子を観察するなどして、子どもたちの表情や、保育者の表情、保育者同士のチームワークなどを見ると良いでしょう。
小規模保育施設は、低年齢児対象で基本的には園庭がありません。規制緩和により一部で3歳以上も在籍できるようになりましたが、幼児に必要十分な遊びを確保するためには、3歳で転園することをおすすめします。
3歳以上も継続して在園する場合は、安全に散歩に出かけたりすることができるよう3歳以上の子どもたちのために複数の保育者を配置しているかどうかを確認してください」
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特集「大丈夫?保育の質」では「『保育の質』向上できるの? 自治体ごとにこんなに違う、実地検査の公表状況」も公開しています。
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