東京すくすく

東京新聞 TOKYO Web
発達・健康
夫婦関係・祖父母
仕事との両立
孤独・孤立
ひとり親
保活
親子関係
おでかけ
スマホ・ネット・SNS
学習・受験
いじめ
~0歳
1~2歳
3~5歳
6~9歳
10歳以上
妊娠・出産
保育園・幼稚園
働き方
教育・学校
くらし
支援
病気・事故
家族

高架下の保育園、増えてるけど…「騒音」が子どもに良くない! 専門家が基準作りへ

(2017年2月26日付 東京新聞朝刊)

イラスト 外の騒音で泣いている子どもと保育士

 小学校や幼稚園には設定されている室内の騒音の基準が、保育施設には定められていない。待機児童対策として保育施設が鉄道高架下や幹線道路沿いにも増えているが、子どもが長時間過ごす場所としてふさわしくないレベルの騒音がある施設も見られ、専門家らが基準作りに取り組んでいる。海外では、音も子どもの発達に重要な要素とされるが、国内ではあまり顧みられてこなかった。

悩む保育士「電車の音で目を覚ますのでは」

 基準案作りを始めたのは、熊本大工学部の川井敬二准教授(建築音響学)ら日本建築学会に所属する約10人の専門家。2013年に「子どものための音環境ワーキンググループ」を結成した。

 「電車の走行音で昼寝中の子どもが目を覚ますのではと、はらはらする」「部屋中に響く子どもの声につられ、つい大声を出してしまう」。グループの一人、岩手大の船場ひさお特任准教授(音環境デザイン)が、幹線道路沿いのビルや鉄道高架下にある保育施設を調査する中で、保育士から聞いた声だ。

窓を開けられず空調フル稼働…その音も大きく

 室内の音量を測定すると、窓を開けられないため空気清浄機や空調設備がフル稼働し、常に50デシベル前後の動作音が響く。電車やダンプカーなどが通過すると、さらに数値が約10デシベル上がった。10デシベル違うと、人の耳に聞こえる音の大きさは約2倍になる。昼寝時間や、子どもたちが静かに耳を傾ける絵本の読み聞かせ中には「かなり気になるレベル」だったという。

 子どもが伸び伸びできるよう考えられた園舎デザインが裏目に出るケースも。部屋を分けず広いワンルームのまま使ったり天井を高くしたりした結果、子どもの声が響いて騒がしさが増す例もあった。

学校や幼稚園と違い、保育施設は「上限値」なし

 学校や幼稚園の教室内の騒音については、文部科学省が50~55デシベルの上限値を定めているが、厚生労働省が管轄する保育施設は基準がない。「保育所保育指針」で、換気や採光などと並び、音の環境も「適切な状態に保持する」よう求めているが、具体的な数値は挙げていない。

図解 国内外の騒音に関する基準

海外では基準あり「子どもの聴力や学習意欲に悪影響」

 海外では世界保健機関(WHO)が1999年、「環境騒音指針」の中で、騒音は子どもの聴力や学習意欲、理解度などへ悪影響を与える可能性があるとし、基準を定めた。学校、幼稚園、保育所の室内は、子どもがいない状態で35デシベル以下、音が響く時間(残響時間)も0.6秒程度にとどめるべきだとしている。

 独、英、米国などにも同様の規定があり、外部からの音を遮ったり、中で子どもたちが騒ぐ声の響きを抑えたりする対策が設計段階から講じられている。

 川井准教授は「大人でも騒々しい環境にいると、不快感や睡眠障害など健康に影響が出る。乳幼児も同じはずだ」と指摘。専門家が作る基準案は保育施設の設置場所の決定や設計の参考にしてもらいたいとし、18年度中の公表を目指す。川井准教授は「子どもが長時間過ごす保育室にも音響面の配慮が必要だという認識を広めたい」と話す。

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

いただいた投稿は、東京すくすくや東京新聞など、
中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

コメント

  • 匿名 より:

    引っ越して来て入れた保育園はまさに高架下。初めは音が心配だったけど、保育参観でお昼寝の様子を見てもあまり音は気にならなくて、子ども達はスヤスヤ寝てる。毎日お散歩もしてくれてるし体操教室もあって先生たちも優しくて子どもは今の保育園が大好き。引っ越す前の保育園は田舎だったから園庭も広かったけど、蝉や蛙の鳴き声は結構うるさいし、肌が弱いうちの子は虫刺されが多くてとびひになったり大変だった。
    記事の題名だけ見ると高架下の保育園はうるさそうで良くないように思われるけど、駅からも近くて便利だしそんなに音もうるさくないし子どもも私も今の保育園を好きで気に入ってる。

  • 匿名 より:

    保育園の園長をしております。騒音だけでなく、様々な基準を見直してほしいです。

    私の勤める保育園は、マンションの1階です。都会の子どもたちは、自動車、自電車、ベビーカー、エレベーター、エスカレーターの生活で運動発達を保障される機会に恵まれないまま育っています。

    文部科学省では、日本の子どもの運動発達の遅れに対して、課題を持ってはいます。保育内容に対しても課題として問われます。

    保育園は、待機児童対策のために、園庭がなくてもいいという規制緩和がされました。園庭もホールもない保育園で、子どもたちの運動発達を保障するための運動遊びに工夫しながら取り組んでいます。

    0、1歳児は子ども一人に対して3.3㎡。2歳児以上は1.9㎡。身体が大きくなり活発になる年齢の方が、スペースが狭くなる。園庭が必須であった時代と同じ条件なのです。

    園庭もなく、ホールもないので、一番大きな1歳児の部屋を全園児の運動スペースとして活用できるように、使用する部屋を変えたいのですが、1歳児一人あたり3.3㎡という基準に満たないという事で、認めてもらえません。

    園児全員に対して必要な面積があるならば、地域性や保育の目的に沿って、申請、検討の制度があればいいのに…と心から思います。

    規制緩和しながら、保育園を増やしている国や行政の状況と、基準を見直すことなく、子どもたちにしわ寄せが行っている現状と、最大限工夫しようという現場の努力も基準によって妨げられている現実があることを、多くの人に知ってもらいたいです。

  • 匿名 より:

    いつも参考になる記事をありがとうございます。
    「保育の質」を数値化できる環境部分から考えていくことは、
    今後の保育施設の増加を踏まえて、とても重要なことに思えます。
    保育士の労働環境改善にも繋がるこのお題、
    引き続きの取材をどうぞよろしくお願いします!