午睡チェック、連絡帳…保育業務をDX化 ユニファの「ルクミー」に中日産業技術賞 保育士の伴走役に
勝股大輝 (2022年12月1日付 東京新聞朝刊)
東京新聞を発行する中日新聞社が主催する、優れた産業技術や製品開発を顕彰する第36回中日産業技術賞(経済産業省後援)の中日新聞社賞に、ユニファ(東京都千代田区)の「保育施設向け総合ICTサービス『ルクミー』」が決まった。現代の課題解決に挑んだ技術とサービスの特徴を紹介する。
保育業界は「量から質へ」の大転換期
情報通信技術(ICT)を活用し保育士の膨大な業務を削減することで、保育現場のやりがい向上や負担軽減を目指すユニファの「ルクミー」。土岐泰之最高経営責任者(CEO)は「保育業界は『量から質へ』の大きな転換期。名古屋から出発したルクミーをさらに磨き保育士の伴走役を担いたい」と決意を新たにした。
ユニファは2013年設立で、創業の地は名古屋市天白区。土岐さんは「専業主夫」で、子育ての労苦や孤立を身をもって感じていた。助けになったのが保育施設。その感謝の思いが「ルクミー」開発の原動力になった。保育現場の声なども取り入れながら、施設を社会インフラとしてより良くしようと奔走した。
2017年、子どもの睡眠状態を見守るシステム「ルクミー午睡チェック」を発表。2018年の第32回中日産業技術賞で特別奨励賞を受賞した。だが、満足はしていなかった。保育現場の課題は根深く広い。子どものバス送迎や体温チェック、園内での一人一人の様子を連絡帳に記入したり…。膨大な保育園スタッフの業務をICTの力で削減できないかと考え続けた。
14業務をパッケージ化 60自治体に
あれから4年。新たに保護者との連絡帳共有や子どもの登降園管理など計14のサービスを「パッケージ」にし、タブレット端末などで情報を集約化。デジタルトランスフォーメーション(DX)化で保育士の業務を「一気通貫のサービスにまとめた」のが特徴だ。
全国60自治体で1万5000件以上契約されている。土岐さんは、保育業務のDX化で保育園が活性化すれば、保育の質も向上すると信じる。「現場に時間のゆとりができれば心のゆとりができ、最後はやりがいにつながる。新生ルクミーで保育の現場を幸せにしていく」