練馬の認可外保育で乳児死亡、窒息か 都は「突然死防止」2回指導していた

(2018年10月5日付 東京新聞朝刊)

 3日午後2時ごろ、東京都練馬区東大泉七の認可外保育施設「若草ベビールーム」で、職員がベッドの上で寝ていた生後6カ月の男児の異変に気づき119番通報した。男児は都内の病院に搬送されたが、約1時間後に死亡が確認された。

 警視庁石神井署は窒息死の可能性もあるとみて、死因や経緯を調べている。署によると3日昼すぎ、職員が男児にミルクを与えた後、ベッドに寝かせたという。しばらくして職員が、寝ていた男児の様子がおかしいことに気付き、近くの診療所に連れて行ったという。

 同施設は西武池袋線大泉学園駅近くの住宅街にある民家に併設。昨年6月から今年3月にかけ一時的に2人の子どもを預けていた母親(35)は「園庭などはなくゼロから2歳児は部屋にこもりっきりだった。先生に対して子どもが多い印象で、目が届くのかなと思っていた。ただいつでも受け入れてもらえるため、仕方なく預けている人が多かった」と話した。

 東京都がこの施設に対し、昨年9月と今年1月の2回、昼寝中の乳幼児突然死症候群(SIDS)の防止などの助言や指導をしていたことが分かった。男児の死亡を受け、都は4日、緊急で立ち入り検査を実施した。(梅野光春、奥野斐)

立ち入り調査で8項目の不備指摘

 都によると、昨年9月に巡回指導した際、睡眠中のゼロ歳児には5分ごとに目を配ることなどを助言。今年1月には、児童福祉法に基づく立ち入り調査を実施し、その時点でも「SIDSの予防への配慮が不足している」と認定し、計8項目の不備を指摘した。

 施設からは3月、SIDS予防の対応も含め7項目を改善したとする報告書が提出された。本年度中に現地へ行って確認する方針だったが、まだ実施していなかった。

 緊急の立ち入り検査をした都の担当者は、男児の死亡について「まだ詳しい事実関係が分からない。状況を分析し、今後の対応を考えたい」としている。

「問題点が多い施設を優先」の中で、3年連続

 同施設や「ベビーホテル」と呼ばれる認可外保育施設は、都道府県や政令市などへの届け出だけで開設できる。国の基準で設置されている認可保育所に比べると、保育士資格を持つ保育者の割合など基準が緩い。

 都は年1回以上、児童福祉法に基づく立ち入り調査をすることになっているが、施設数が多く、全体の2割弱しかできていない。その中で、この施設には3年連続入っていた。都は「一般論として問題点が多い施設へ優先的に入っている」と説明している。

 認可保育所に対して設置基準がゆるい「認可外保育施設」。そのの位置づけや安全性をチェックする行政の関わり、立ち入り調査の結果の見方について、こちらの記事でまとめました。
 6カ月の男児が死亡…「認可外保育施設」とは? 立ち入り調査の結果はどこで見られる?