オリーブの木から何を見つけた? 東京大大学院×福生市が試行、学力ではない「非認知能力」教育
松島京太 (2023年11月15日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
東京大大学院の幼児教育の研究機関「CEDEP(セデップ)」と連携して保育園や幼稚園での新たな教育手法を探る試験的事業が、東京都福生市内で実施されている。協力園の一つである聖愛幼稚園では、園庭に植えられているオリーブの木を題材に、子どもの想像力や協調性などを育むプログラムに取り組んだ。
大人は極力指導せず「褒める役」
「この葉っぱはツルツルだけど、こっちは滑りにくくて不思議だね」。3人組の園児が、高さ4メートルほどのオリーブの木を観察して園の先生や、CEDEPの研究者に話しかける。普段から身近にある植物だが、時間をかけて葉の手触りや実の付き方を確かめ、子どもの発見力を促す。周りの大人は園児の調べ方を極力誘導せず、見守って発見を褒める役に徹する。オリーブの葉や枝を使って絵を描いたり、工作したりする中でも、子どものやり方に任せていた。
聖愛幼稚園でのプログラムは、CEDEPの研究者と園の担当者が議論して企画。同園の年中クラスのオリーブ組の園児約30人を対象に、4人ほどのグループで数日かけて実施した。
子どもの新たな一面を発見できる
園の担当者は「子どもの知らない一面を新たに発見する驚きがある。それらを引き出していけるような環境整備をしていかないと、と気づける良い機会だった」と振り返る。
学力以外の、社会で生きるための能力を指す「非認知能力」の教育を目的として、都が実施している「乳幼児『子育ち』応援プログラム推進事業」の連携自治体の福生市が取り組む事業の一環。本年度は同市内の5つの保育園・幼稚園で、試験的に実施されている。他の園では、光を発するライトテーブルを活用したり、自然を探索したりするプログラムを実施、検討している。
CEDEPとは
乳幼児期の保育・教育環境について総合的に研究する「発達保育実践政策学」の確立を目指し、2015年に設立された日本初の国立研究機関。正式名称は The Center for Early Childhood Development, Education, and Policy Research。日本語では「東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター」。公式サイトはこちら。
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