国の子ども・子育て関連の政策予算 2019年度は前年度より1割アップ
安藤美由紀 (2018年12月23日付 東京新聞朝刊)
政府は21日に閣議決定した2019年度予算案で、目玉に位置付ける幼児教育・保育(幼保)の無償化など子ども・子育て関連の政策に、前年度から約1割の上積みとなる総額約3兆3000億円を計上した。2020年度以降も新たな事業や、既存の施策の充実を予定している。
2019年10月スタートの幼保無償化 半年分で3800億円
幼保無償化は、財源にする消費税率の10%への引き上げを前提に、2019年10月から実施する予定。初年度は半年分の3882億円を計上し、年間で8000億円と試算されていた予算規模に収まった。内訳は国が1532億円、地方が2349億円で地方側の負担が重く、政府と全国知事会などの協議が難航した局面もあったが、初年度分は国が全額負担することで決着した。
無償化は今年6月の経済財政運営の指針「骨太の方針」で実施が確定した。政権が掲げる「全世代型社会保障改革」の主要政策となる。無償化にあたり自治体の負担が増すシステム改修費などの事務費も予算化した。
保育所の受け皿拡大は7万人分 虐待防止対策も
待機児童の解消に向けた保育施設の整備など、受け皿拡大に関しては2018年度2次補正予算案と合わせて7万人分、計1260億円を盛り込んだ。2020年度以降も順次増やしていく計画。放課後児童クラブ(学童保育)は、2019年度からの5年間で新たに30万人分を確保するのが目標。初年度は「地域子ども・子育て支援事業」の1474億円の一部に組み込んだ。
大学など高等教育の支援では、返済の必要がない給付型奨学金の大幅増などを2020年度から実施する予定。2019年度は、経済的に大学進学が困難な若者らを対象に私立大学の授業料を減免する制度の枠を25000人増の96000人にするなど既存事業の充実を図る。
東京都目黒区の女児虐待死事件を受けて見直された児童虐待防止対策では、児童相談所の体制強化や里親支援体制の構築などで前年度比150億円増の1698億円を計上した。