子育て政策、大丈夫?「子ども目線」置き去りに 保育の現場で進む規制緩和

(2018年12月9日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 安倍政権が進める子育て政策で、保育現場の規制緩和の流れが加速している。学童保育の職員配置基準の変更や認可外保育施設の無償化、企業主導型保育所の設置を推進し、託児の受け皿を拡大させる狙いだ。年内に実施が確定する項目もあるが、利用者からは質や安全性の低下を懸念する声も上がる。「子ども目線」が置き去りになってはいないか。

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学童職員1教室に2人→1人

 小学生が放課後を過ごす学童保育は、働く女性の増加で需要が高まり、2018年5月現在の待機児童は約1万7000人。政府は23年度までに30万人分の受け皿を新設する方針だ。

 今年11月の内閣府の検討部会では、1教室に2人以上の職員配置を義務付けた基準の拘束力をなくし、職員1人での運用を可能にする政策変更を表明した。深刻な人材不足の中、基準が受け皿拡大を妨げているとする全国知事会などの主張を反映した。

 検討部会は行政法の識者が中心で、保育の専門家は不在。保護者や指導員でつくる「全国学童保育連絡協議会」は「児童の安全や安心が確保できなくなる」と不安視する。

認可外保育も無償化対象に

 来秋から実施予定の保育無償化も、規制緩和に拍車を掛けるとの見方がある。

 政府は認可施設だけでなく認可外も補助の対象にする方針。認可外は保育士配置などが認可の基準以下の施設が多いが、最低限のラインとして厚生労働省が設けた指導監督基準を満たせば、子ども1人につき最高で月4万2000円を受給できる。

 認可の基準以下の施設に補助金が流れ込むことで、最低ラインの施設の設置を助長し、保育の質を低下させる可能性が指摘される。保護者らの団体「保育園を考える親の会」は「無償化するなら認可並みの基準を守ってほしい」と心配する。

基準緩い企業主導型保育を推進

 政府が待機児童対策の切り札として、16年度に導入した企業主導型保育所の先行きも怪しい。

 企業主導型は、企業などが従業員向けに開設できる無認可の新形態で、市区町村に審査・指導の権限はない。認可より基準が緩いのに認可並みの補助金を受けられ、企業の自由度は高い。3月末時点で2597カ所に達した。

 だが、需給不均衡や運営の不手際から、東京都世田谷区で休園が相次ぐなど、各地で定員割れや資金繰りの悪化が表面化。内閣府は年内に有識者委員会を立ち上げ、課題を検証する。

 全国の保育事業者らでつくる「日本こども育成協議会」の中正(なかしょう)雄一副会長は「待機児童解消を優先するあまり、最も大事な保育の質が二の次にされている。子どもの視点を生かした制度にしてほしい」と求めた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年12月9日

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