「助けて!」言えない子にSNS相談窓口 川崎市子どもの権利委が提言 意識調査で9割が「疲れ、不安がある」
大平樹 (2019年5月19日付 東京新聞朝刊)
川崎市子どもの権利委員会(委員長・佐々木光明神戸学院大教授)は17日、子ども支援に関する提言をまとめ、福田紀彦市長に答申した。内容は、周囲に助けを求めづらい子ども向けに、会員制交流サイト(SNS)などによる相談窓口を設けることなど5項目。福田市長は「スピード感を持って、全庁を挙げてやっていく」と応じた。
子どもの9割「疲れや不安」 でも「周囲に相談しない」1割強
委員会は、市が2000年に全国で初めて制定した子どもの権利条例に基づく機関。有識者や市民らでつくる委員が市長の諮問を受けて、子どもに関する施策を市に答申してきた。
委員会が子どもに行った意識調査で、9割が「疲れることや不安に思うことがある」と回答。また、周囲への相談については「したいけどできない」「したいと思わない」の回答が1割強あった。これを受けて、外国語対応を含めてメールやSNSの相談導入を検討するように提言した。
他に、虐待防止など子どもの権利保障に関する専門性を高めるため、職員育成の充実や関係機関との連携も提言した。
心愛ちゃん事件受け「行政が守らなければ、声を上げられない」
市役所を訪れた委員たちからは、千葉県野田市の小学4年の女児が1月に死亡した虐待事件を受け「行政機関が守ってくれなければ、子どもも声を上げられない」などの意見が出た。
福田市長は「周囲に援助を求められない子ほど深刻な事態になる。アンテナをとがらせ、いろんな機関と一緒になるネットワークが大事だ」と話した。
佐々木委員長は取材に「条例の必要性は制定当時より高まっている。再び悲しい事件が起きる前に、子どもの権利を尊重する機運をつくらなければいけない」と語った。