新型コロナ対策の休校で保護者もイライラ 親子のストレスをためないためには?

平井一敏、長田真由美、小中寿美 (2020年3月10日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国の小中学校、高校などでは休校が続く。友達や先生と突然別れざるを得なかった子どもはもちろん、会社を休んだり在宅勤務をしたりする保護者の戸惑いは大きいだろう。できるだけストレスをためず、しかも感染も予防しながら乗り切るにはどうしたらいいか。専門家に聞いた。

休校で多くの行事が中止に。寂しい思いをしている子どもは少なくない

「勉強は?」「ゲームはダメ」の小言、子どもには負担大

 今回の休校が夏休みなど通常の長期休みと違ってストレスが大きいのは、親も子も何の準備もできずに始まったためだ。新型インフルエンザが流行した2009年、厚生労働省の休校要請で、兵庫県と大阪府では約150万人の児童・生徒が1週間の自宅待機に。兵庫県内の高校はスクールカウンセラーが随時相談に乗る態勢を整えたが、休校が明けると、それまで月2回だった相談日が十数回に増えた学校もあったという。

 休校への対応は自治体によって異なるが、国は基本的に自宅で過ごすよう求めている。一般財団法人「愛知総合HEARセンター」理事長で臨床心理士の小瀬木尚美さん(64)が危惧するのは、閉じ込められることによる子どもへのストレスだ。仕事や感染への警戒、子どもの世話…。イライラするのは保護者も同じ。「勉強は?」「ゲームはダメ」などつい小言を言いがちだが、家族関係の心理に詳しい中京大教授の小島康生さん(51)は「ただでさえ不安になっている子どもには負担が大きい」と注意を呼び掛ける。

イライラしたら「子どもに話し掛ける前に、3回深呼吸」

 必要なのは、一日をどう過ごしたいかや何をやりたいか、何をしてほしいかを子どもと話し合うこと。ただ「時間割のようにきっちり決めると、できない時にまたイライラする」と小島さん。「○○時間勉強しよう」などざっくりとした目標で十分という。小瀬木さんは「30分ほど一緒に昼寝をしてもいい」とアドバイス。学校がないと「あれもこれもしないと」と焦りがちだが、ゆったり構えることを大事にしたい。

 インターネットゲームやスマートフォンへの依存を避けるためにと、小瀬木さんはかるたやビー玉、ボードゲームといった昔ながらの遊びを勧める。ご飯を作るなど一緒に家事をするのもいい。小島さんは「子どもとじっくり向き合い、コミュニケーションを深めるチャンスととらえて」と呼び掛ける。

 2人がそろって心配するのは、保護者がイライラを子どもにぶつけ、虐待につながってしまう恐れだ。ストレスを感じたら「子どもに話し掛ける前に3回深呼吸を」と小瀬木さん。自律神経のバランスが整い、気持ちがほぐれるという。小島さんは、子どもに留守番を任せて短時間でも外に出るよう促す。その際は火の元や施錠に注意し、インターホンが鳴っても出ないようしっかり言い聞かせることが大事だ。

外出するならショッピングモールより公園へ、少人数で

 自宅で友達と遊ぶ時の注意点は? 感染症専門医でマイファミリークリニック蒲郡(愛知県蒲郡市)院長の中山久仁子さん(49)は「両腕を広げた範囲に人がいないようにして濃厚接触を避けて」と訴える。数が多いほど感染者が潜む可能性も高まるため、人数は少なくするのが大事。塾や稽古事は「風邪症状があれば感染を広げないよう休ませて」と話す。1時間に1回、5分程度の換気も忘れずに。

 外出するなら、換気が悪く不特定多数の人が集まるショッピングモールなどは避けたい。お薦めは公園だが、なるべく少人数が望ましい。大勢で遊具を共有すれば濃厚接触のリスクが上がるだけでなく、遊具にウイルスが付く確率も高まるためだ。

 室内、屋外に関係なく手洗いは徹底したい。友達の家や塾に着いた時、食事前、トイレの後、帰宅時などこまめに。人がよく触るドアノブは、接触感染を防ぐため、アルコールなどで消毒するといい。

 祖父母に預けようと考える人もいるだろう。高齢者は重症化の危険が高いため、住んでいる地域で流行し始めたら行かせるのは控えたい。