新型コロナ対策、動物園の「ふれあい」は継続?中止? 現場で分かれる対応、国が基準示さず困惑

鈴木凜平、保坂千裕、糸井絢子、夏目貴史、山中正義 (2020年3月9日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、静岡県内の動物園などで、動物と触れ合うイベントを中止するかどうかの対応が割れている。中止する主な理由は、感染者が触った動物を介して感染が広がる危険性だが、「手のアルコール消毒を徹底すれば防げる」として中止しない園もある。国や全国組織は統一基準を示しておらず、現場からは困惑の声も上がっている。
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室内での開催を取りやめ、野外で行われるバードショー。天候が悪ければ中止するという=静岡県掛川市の掛川花鳥園で

掛川、屋内のバードショーを屋外で実施

 施設の多くが屋外であることを考慮し、開園している日本平動物園(静岡市駿河区)。来園者の密集を避けるため、15日までは餌やり体験などのイベントを中止している。

 担当者によると、団体のキャンセルは少なく、来園者は例年の同時期と同じかやや少ない程度。アルコール消毒やこまめな手洗い、うがいを促している。

 富士サファリパーク(裾野市)も屋内のモルモットとの触れ合いは中止した。掛川花鳥園(掛川市)は、通常は屋内で開催しているバードショーを屋外で実施している。

東伊豆、アルコール消毒を促し通常営業

 一方、サイなどたくさんの動物と触れ合えることで人気の伊豆アニマルキングダム(東伊豆町)は、動物との触れ合いの前後に、来園者にアルコール消毒するよう促す以外は、通常通りの営業を続けている。子どもを含んだ団体予約がキャンセルになるなどして来園者が減っており、密集するような場所もないという。

現場判断任せに「国が基準示してほしい」

 国は、触れ合いや餌やり体験について対応策の基準などを示していない。動物園の担当者からは「国などが基準を示してくれたほうが来園者は安心する」との声が聞かれる。5日時点では、多摩動物公園(東京都)や世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ(岐阜県)が中止にする一方、九州自然動物公園(大分県)は中止にしておらず、判断が分かれている。

 全国約150の動物園・水族館が加盟する日本動物園水族館協会(東京)は取材に「各施設によって事情が異なるので、個々の判断に任せている。私たちは指示する立場にない」とコメントした。厚生労働省は「動物に接触した後は、手洗いや消毒をしてほしい」と呼び掛ける。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年3月9日

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