授乳ケープや遊具にも変身! 「風呂敷」が包む避難生活 専門家にノウハウを聞きました

(2021年3月12日付 東京新聞朝刊)
 災害時の避難生活で役立つのが、日本古来の風呂敷だ。荷物を運ぶだけでなく、ずきんや包帯など幅広く使え、特に幼い子どもがいる場合は抱っこひもにするなど活躍のシーンが増える。具体的な活用法や親子で取り組むポイントを専門家に聞いた。

「防災の勉強より、親子で遊び感覚」

 まずは細長く折り、鼻と口を覆って結べばマスクに。タオルなどを挟んで対角線で三角に折った後、頭にかぶって両端を結んだら防災ずきんの出来上がりだ。「使い方によって何にでも“変身”するんです」。日本風呂敷協会のラッピング・コーディネーター、犬飼めぐみさん(40)は話す。

 同協会は東日本大震災の際、被災地に風呂敷を贈った。そこでの声も踏まえ、物資がない災害地で役立つ使い方を、2018年出版の「ふろしき防災BOOK」で紹介している。犬飼さんは「防災の勉強というより、子どもと一緒に遊び感覚で覚えて」と話す。

 例えば抱っこひもにする場合。風呂敷を三角に折った状態で寝かせて両端を結んだ後、片方の腕と頭を輪に通して抱き上げる。綿など肌に優しい天然素材がいい。あくまでも応急措置のため、赤ちゃんが落ちないよう支えることが大事だ。

首から掛ければ授乳ケープに=名古屋市で

避難所でカーテンやゆりかご代わりに

 授乳時など避難所で人目が気になるときも風呂敷が便利。大きめの風呂敷を首から掛ければ授乳ケープになる。椅子の背もたれや、荷物を入れたスーツケースの持ち手に結んで広げれば簡易なカーテンの完成だ。

 避難所生活で子どものストレスが心配な場合は、ゆりかご遊びがお勧め。風呂敷に寝かせ、角を握って複数の大人で持ち上げたら揺らすだけ。風呂敷に乗せ、左右の角を引っ張っても楽しいが、スピードが出て子どもが後ろに倒れないよう注意したい。「万一のときに慌てないよう、普段から風呂敷を使い、慣れてほしい」と犬飼さんは言う。