高校生一人で何ができるの?と言われても…「AED普及で地域の命を救いたい」八王子の高2、熱意が実った

布施谷航 (2020年3月24日付 東京新聞朝刊)
 八王子実践高校2年の恩田佑太さん(17)=東京都八王子市泉町=が、自動体外式除細動器(AED)の普及活動に取り組んでいる。「高校生一人で何ができるの?」。そんな言葉を掛けられたこともあったが、熱意は次第に周囲の大人に伝わり、手応えを感じている。

「周囲に支えられている」と話す恩田佑太さん=東京都八王子市で

コンビニ4社に持ちかけても、冷たい反応だった

 活動を始めたきっかけは昨年4月、学校で紹介された「マイプロジェクト」の取り組み。身の回りの課題や関心をテーマに自分のプロジェクトを設定する「実践型探究学習プログラム」だ。小学校から中学校にかけて「消防少年団」に所属していたこともあって救命救急に関心があり、AEDの地域への普及を選んだ。

 24時間営業のコンビニに置いてもらえば、住民がいつでも使えるようになるのではないか-。早速、大手4社にメールしたが、3社からは返事がなかった。電話に応じた1社も「高校生一人で何ができるのか」と、にべもない。「高校生の自分には無理じゃないか」と断念も頭をよぎった。

消防団の詰め所に置くよう提案 市のモデル事業に

 ある日、高校への登校中に、交番にはAEDが置いてあるものの、消防団の詰め所には配備されていないことに気付いた。「人命を守る消防団の詰め所に置いたら、効果があるのではないか」と、市役所の福祉政策課に相談。市もAEDの配備に力を入れており「モデル事業」として、この詰め所への配備を計画に盛り込んでくれた。

 福祉政策課の柏田恒希課長補佐は「地域のために奮闘する熱意と努力が伝わってきた」と話す。

あすから「マイプロジェクト」全国大会に出場決定

 思いは地域の大人に伝わりつつある。近所のコンビニオーナーに設置を持ち掛けると、市による機器の設置を快諾。店内にAEDを常備している近くのドラッグストアの店主に相談すると、誰でも使えるよう屋外への設置を検討してくれることになった。

 「最初は自分一人でやらなくちゃと思っていたけど、周囲の人に支えられ、思いが実現していくんだって分かりました」

 成果が見え始めた活動が評価され、27~29日に全国の高校生が参加して開かれる「マイプロジェクトアワード」の出場者に選ばれた。新型コロナウイルス対策でオンラインでの開催になるが、支えてくれた人たちへの感謝を胸に発表するつもりだ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年3月24日

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