「米が買えない」コロナ長期化がひとり親家庭を直撃 体重の減った子どもが10%超
預貯金「10万円未満」が増え、4割に
調査は「ふぉーらむ」会員のシングルマザー539人を対象に、昨年7月から継続して毎月実施。コロナ禍による家計や子どもへの影響を尋ね、今年2月までの結果を「東京都」と「東京都以外」の居住地別に集計した。
都内に住む約半数が常時、「就労収入がコロナ拡大前より減少した」と回答。就労収入が「月12万5000円未満」との答えが常時、約5割に上った。預貯金が「10万円未満」の世帯割合も徐々に上昇し、直近では4割近くに達している。
今年2月時点で、米などの主食が買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と回答した世帯は都内で3割超、東京以外で4割超に達した。肉、魚が買えなかった経験があるとの回答はさらに多く、ともに5割以上。湯沢教授は「回復しないどころか、悪化しているような家計や暮らし向きが明らかになった」と指摘する。
学校の学習について行けない子も4割
小学生の子を持つ母親に「子どもについて気がかりなこと」を聞いたところ、「体重が減った」と答えた割合が2月時点の都内で9%に上った。学校の給食がない期間と重なる夏休みや夏休み明けの昨年8月、9月には11%に達していたことも判明。「ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は「小学生の体重はずっと増加していくのが普通。減っているというのは非常に深刻」と言う。自由記述欄には「体重が減り、ストレスがたまっているのが見て分かる」という母親の悲痛な声も記された。
影響は暮らし向きだけではない。小学生の子どもが「学校に行きたがらなくなった」「行かなくなった」は2月時点で東京が計3割近くになり「学校の学習についていけない」との答えは4割超に上った。
「感情の起伏が激しくなり、怒鳴ったり大泣きすることが増えた」「外遊びが好きだったが、完全な引きこもりになり外に出たがらない。急にかんしゃくを起こすことも多々ある」との経験も寄せられた。
湯沢直美教授「構造的な問題がある」
ふぉーらむはこの1年余、延べ2万5000世帯に食料を支援し、計120トン以上の米を送ったが「いくら送っても厳しい状況」(赤石氏)。湯沢教授は「非正規雇用が6割を占めるひとり親家庭でこの状況にあると、労働時間の短縮、仕事を休むことなどで母親の就労に影響を及ぼす。それが収入減になるというスパイラル。構造的な問題がある」と話す。
ふぉーらむは調査結果を踏まえ、困窮する家庭への給付金の拡充や「緊急小口資金」などの支援制度の特例延長、生活保護制度を利用しやすくするなどの施策を政府に提言する。
寄付も常時、ふぉーらむのホームページで受け付けている。