「米が買えない」コロナ長期化がひとり親家庭を直撃 体重の減った子どもが10%超

上坂修子 (2021年5月8日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

グラフ 体重が減ったと答えたひとり親世帯の小学生の割合

 新型コロナウイルス感染拡大の長期化が、ひとり親世帯の家計や健康面をより困難な状況に追い込んでいることがNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)と立教大の湯沢直美教授(社会福祉学)らの調査で明らかになった。育ち盛りの小学生の体重が減る傾向などが表れ「子どもたちの生活、成長、学びに人々の想像を超える多大な影響がある」と公的支援の充実を求めている。

預貯金「10万円未満」が増え、4割に

 調査は「ふぉーらむ」会員のシングルマザー539人を対象に、昨年7月から継続して毎月実施。コロナ禍による家計や子どもへの影響を尋ね、今年2月までの結果を「東京都」と「東京都以外」の居住地別に集計した。

 都内に住む約半数が常時、「就労収入がコロナ拡大前より減少した」と回答。就労収入が「月12万5000円未満」との答えが常時、約5割に上った。預貯金が「10万円未満」の世帯割合も徐々に上昇し、直近では4割近くに達している。

 今年2月時点で、米などの主食が買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と回答した世帯は都内で3割超、東京以外で4割超に達した。肉、魚が買えなかった経験があるとの回答はさらに多く、ともに5割以上。湯沢教授は「回復しないどころか、悪化しているような家計や暮らし向きが明らかになった」と指摘する。

グラフ 米などの主食が買えないと回答したひとり親世帯の割合

学校の学習について行けない子も4割

 小学生の子を持つ母親に「子どもについて気がかりなこと」を聞いたところ、「体重が減った」と答えた割合が2月時点の都内で9%に上った。学校の給食がない期間と重なる夏休みや夏休み明けの昨年8月、9月には11%に達していたことも判明。「ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は「小学生の体重はずっと増加していくのが普通。減っているというのは非常に深刻」と言う。自由記述欄には「体重が減り、ストレスがたまっているのが見て分かる」という母親の悲痛な声も記された。

グラフ 子どもの服や靴が買えないと回答したひとり親世帯の割合

 影響は暮らし向きだけではない。小学生の子どもが「学校に行きたがらなくなった」「行かなくなった」は2月時点で東京が計3割近くになり「学校の学習についていけない」との答えは4割超に上った。

 「感情の起伏が激しくなり、怒鳴ったり大泣きすることが増えた」「外遊びが好きだったが、完全な引きこもりになり外に出たがらない。急にかんしゃくを起こすことも多々ある」との経験も寄せられた。

湯沢直美教授「構造的な問題がある」

 ふぉーらむはこの1年余、延べ2万5000世帯に食料を支援し、計120トン以上の米を送ったが「いくら送っても厳しい状況」(赤石氏)。湯沢教授は「非正規雇用が6割を占めるひとり親家庭でこの状況にあると、労働時間の短縮、仕事を休むことなどで母親の就労に影響を及ぼす。それが収入減になるというスパイラル。構造的な問題がある」と話す。

 ふぉーらむは調査結果を踏まえ、困窮する家庭への給付金の拡充や「緊急小口資金」などの支援制度の特例延長、生活保護制度を利用しやすくするなどの施策を政府に提言する。

 寄付も常時、ふぉーらむのホームページで受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年5月7日

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