「レトロでかわいい」クリームソーダが人気 緑だけじゃなく青やピンクも 親子で作ってみよう♪
昔懐かしいセンスが受け「エモい」
4年前にオープンした名古屋市西区の喫茶店「喫茶ゾウメシ」。人気メニューの一つが赤、青、緑色のクリームソーダだ。店名にちなみ、ゾウ形のクッキーがアイスに刺さっている。「SNSで話題になり、学生たちの来店が増えた」と店長の福島千咲さん(29)。「どのタイミングでアイスを崩すか、楽しみながら飲んでほしい」とほほえむ。
昭和のレトロ文化に詳しい茨城大現代社会学科教授の高野光平さん(49)は、ブームの背景には「『映え』に加え、昭和を懐かしく思うノスタルジーがある」とみる。今の10代後半から20代が幼いころは、昭和を感じさせるものが、まだ周囲に残っていた。「当時目にした派手なデザインや大胆な配色、昔懐かしいセンスを『エモい』(感情を揺さぶられる)と感じたのではないか」と推測する。
昭和初期から流行 緑色は70年代
いつ生まれ、なぜ今のスタイルになったかなど「日本のクリームソーダは謎が多い」と高野さんは言う。海外では米国で1870年代、炭酸水にアイスクリームをまぜたり、上にのせたりした飲み物がはやっていた記録がある。
一方で、国内では1902年、資生堂パーラー(東京)の前身、資生堂薬局に、炭酸水とアイスクリームを製造、販売するコーナーが設けられた。その後、飲食を提供するようになる中で、1920年代にはクリームソーダを出していたことが確認できるが、いつメニューに加わったかは不明だ。高野さんは「昭和初期、流行の先端をいく人たちが飲んでいたようだ」と言い、以降、各地に広がっていく。ただ当初の人気はレモンやイチゴ味。それが1970年代に入ると、突然、緑色のメロンソーダが現れ、アイスクリームとサクランボがのった形が定番になった。
欧米では薄茶色の炭酸飲料を指す
ちなみに、清涼飲料水研究家の久須美雅士さん(59)=新潟市=によると、今、欧米でクリームソーダといえば、主に沖縄でよく飲まれる「ルートビア」のバニラ味といった炭酸飲料を指す。色は薄茶色で缶やペットボトルに入っており、日本のものとは別物だ。
「クリームソーダ職人 tsunekawa」としてSNSで情報発信する恒川寛弥さんは、モーニング文化が根付く愛知県出身。「子どものころ、祖父母と喫茶店へ行くたびに目にしたクリームソーダは、キラキラ輝いて宝石のようだった」と振り返る。
4、5年前から色鮮やかなクリームソーダを作り始め、レシピを紹介している。誰でもできるが、こつは「落ち着いて丁寧に作ること」。炭酸水を勢いよく注いだり、かきまぜたりすると気泡が多くできる。「慣れてきたら、自家製のシロップを使っても楽しい」
「青空を注いだクリームソーダ」のレシピ
【材料】(1杯分)
A(青色シロップ15ミリリットル、8ミリリットル入りガムシロップ2個)、青色シロップ20ミリリットル、炭酸水125ミリリットル、氷、バニラアイス、サクランボ、各適量
※シロップは市販のかき氷用でOK
【作り方】
- 計量カップにAを入れてまぜ、水色のシロップを作る
- グラスに青色シロップを入れ、氷をそっと入れる
- (1)に炭酸水を注ぎ、静かにまぜる
- (2)に(3)を少し注ぎ、水色と青色の境目をマドラーでそっとまぜて、グラデーションを作る。残りの炭酸水をそっと注ぐ
- バニラアイスをのせ、サクランボを飾る
レシピと写真は、恒川さんの著書「空色のクリームソーダRecipe」(ワニブックス)から。8月に「空色の喫茶店Recipe」(同)を出版。