最近の甘い果物、子どもにたくさん食べさせても大丈夫? 1日の適量や虫歯の心配は

(2022年2月26日付 東京新聞朝刊)

「甘くなった」と感じる果物が増えているが…

 最近の果物はとても甘いですが、子どもにたくさん食べさせても大丈夫でしょうか? 1日の適量や、虫歯の心配について取材しました。

「バランスガイド」の適正量を参考に

 子育て中の40代の親御さんから、「甘い果物と健康の関係が知りたい」という質問が届きました。東京医療保健大の講師で管理栄養士の資格を持つ細田明美さん(47)に聞きました。

 「消費者が甘い果物を求める傾向を受け、甘みと酸味のバランスにこだわった品種の開発が進んできました」。例えばリンゴは、糖酸比(糖度÷酸度、高いほど甘みが強い)が高くても30程度だった昭和中期までと比べると、現在広く流通する「ふじ」「ジョナゴールド」は30~40、「王林」「シナノスイート」はそれ以上と、全体的に甘みが強くなっています。イチゴやマスカットも、甘みの強い品種が売り場に並ぶようになってきています。

 健康に問題がない場合は、厚生労働省と農林水産省が出している「食事バランスガイド」が示す果物の適正量を著しく逸脱しなければ食べ過ぎの心配はありません。離乳食が完了するまでの乳児は1日100グラム、離乳食完了後から小学校入学までの幼児は150グラム、小学生以上は200グラムが摂取の目安です。重さ100グラムは、リンゴは半分、ミカンであれば1個分程度です。

パイナップルやマンゴーは2歳から

 食べ過ぎや、夜遅くに食べることには注意が必要です。「摂取したエネルギーを消費しきれず、体重や中性脂肪の増加などにつながりかねません」

 虫歯については過度に神経質になる必要はありません。「チョコやクッキーなどのお菓子と違い、果物は歯にくっつきにくく、口中にとどまりません」。ただ、ドライフルーツは別です。歯にくっつきやすい上に、糖が加えられているものもあるためです。缶詰も加工段階で糖が添加されています。

 「生のパイナップルやマンゴーを子どもに食べさせる場合は2歳以降を目安にしましょう」。タンパク質を分解する働きのある消化酵素が多く含まれていて、消化器官が未発達な乳幼児にとっては刺激が強すぎるためです。