子どもが1人の時に地震が起きたら? 命を守る「最初の8秒」の行動とは
阪神大震災 犠牲者の大半が12秒で
「最初の8秒で、安全を確保できる場所に逃げて」
清永さんは、長岡造形大名誉教授で防災対策が専門の平井邦彦さんとともに、最大震度6の阪神大震災、同7の東日本大震災について揺れのデータや犠牲者の死因、亡くなった状況などを研究。それによると、震度5以上の大地震は1~8秒間の小さな揺れから始まり、最長5分ほどの大きな揺れを経て収まることが分かった。
「最初の8秒」が大事なのは、大きく揺れ始めると動くのが難しくなってしまうためだ。10歳以下の子ども569人が亡くなった阪神大震災では、大人を含め犠牲者の4分の3が最初の12秒で命を落としていた。死因は建物の倒壊や家具の転倒などによる「窒息死」や「圧死」だった。
揺れが大きくなる前に、場所を探す
この研究を基に、子どもが真っ先にやるべきなのは「物が落ちてきたり飛んできたりしない場所を見つけること」。屋内なら机の下にもぐり、対角線上にある脚を持って揺れをしのぐ。机がなければ家具から離れた部屋の中央が比較的安全だ。しゃがんで体を丸め、両手を首の後ろで組む「カメのポーズ」で落下物から身を守る。フライパンやまな板があれば、それで頭をかばってもいい。
屋外の場合は倒壊の恐れがある建物や塀から離れ、少しでも広い場所へ。木があればコアラのようにしがみついて体を安定させる。
通学路は家族でシミュレーションを
こうして地震が収まるまでの「5分8秒」を耐えたら、次の行動は周囲の状況をよく見て判断することが必要だ。例えば、最近は家屋の耐震性が増しているため、自宅にいるなら、そのままとどまるのがいい。ただ地震後は火災が起きやすい。もし火が出たら、すぐに外へ逃げることが大事だ。
登下校中の場合は、より臨機応変な対応が求められる。学校に向かってもいいが、途中で火事が発生していたり、塀が倒れていたりした場合は自宅を目指した方が安全なこともある。感電するため、歩くときは切れた電線に注意。絶対に触らないよう伝えたい。
被災時は何が起きるか分からない。子どもが適切な判断をするためには「通学路やよく行く所を家族で歩き、普段からシミュレーションをすることが大切」と話す。落ちたり割れたりするかもしれない大きな窓ガラスのある建物などを見ながら「地震のときはこの道は避け、あっちの道へ」と具体的に伝えよう。
SNSや「171」連絡手段も事前確認
事前にできることは他にも。携帯電話がつながりにくくなる事態に備え、まずはSNSなど緊急時の連絡手段を決めておく。特定の相手に声のメッセージを残せる災害用伝言ダイヤル「171」の使い方も練習しておくといい。通常は使えないが、毎月1日と15日は体験利用できる。親や祖父母といった頼れる人の電話番号、家族と落ち合う場所や安全と思われる自宅への道筋を書いたメモを持たせるのも効果的だ。
子どもとなかなか合流できない場合、「大きな力になるのは、ママ友や近所の人」。いざというときに備え、マンションの管理人や近所のクリーニング店など信頼できる人や店を増やしておくことを心掛けたい。
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