熱中症リスク、幼児を車内に置き去りにしないで 千葉県警がパチンコ店などに注意促す 「短時間でも危険」
昨夏、自宅駐車場で1歳児死亡のケース
八千代市の事件は昨年7月下旬に発生。次女を自宅マンション駐車場に止めた軽乗用車内に置き去りにして死亡させたとして、保護責任者遺棄の疑いで母親が逮捕された。
母親によると、次女を車内で1人にした時間は約20~30分。千葉地検は今年1月、「エアコンの不具合があった」などとして不起訴とした。
同課は、1~6月、パチンコ店や病院の駐車場などで、車内での幼児置き去りをすでに10件(前年同期比2件減)確認。同月末に関東地方で観測史上最速の梅雨明けが発表され、県内各地で猛暑日が多くなっており、車内で熱中症になる危険性が高まっている。
日本自動車連盟(JAF)が2012年に行った実験では、気温35度の炎天下に停車した車内では、窓を締め切った状態でエンジンを停止した後、15分で身体にとって危険な状態に達した。
小児救急に詳しい佐久総合病院佐久医療センター(長野県佐久市)の坂本昌彦小児科医長は「誰でも車内に幼児を置き去りにしてしまう可能性がある」と指摘する。買い物などのために意図的に子どもを車内に残すケースのほか、親がストレスを抱えて考え事に没頭し、後部座席の子どもの存在を忘れてしまったり、車庫内の車に子どもが自ら入り込んで出られなくなったりすることもあるという。
坂本医長は対策として、後部座席に財布などの貴重品を置いて車を離れる際に子どもの存在を思い出せるようにすることや、車庫の入り口を施錠することなどを挙げた。「自分には関係のないことと思わずに、対策をしてほしい」と語る。
「車内放置は児童虐待」県警がグッズ配布
猛暑の中で車内の幼児置き去りを防ごうと、県警少年課は6月30日、初の取り組みとして県遊技業協同組合や県警備業協会などに協力を依頼する文書を交付。「車内放置は児童虐待です」と書かれたカード1000枚を各団体に配布し、パチンコ店やスーパーなどに貼ってもらうという。
同課の金沢哲也児童虐待対策官は「短時間でも、車内では早く温度が上がる。多くの人に車内置き去りの危険性を知ってほしい」と話した。