他の子のおもちゃを奪ってしまう2歳児 やめなさいと言っても聞きません〈宮里暁美の子育て相談〉

(2022年12月20日付 東京新聞朝刊)

他の子のおもちゃ奪ってしまう

Q 2歳の息子が、他のお子さんが手にしているおもちゃに興味を持つとすぐに奪ってしまいます。やめなさいと言っても聞きません。(30代母、2歳男児)

イラスト・永須華枝

3つの作戦を知っていれば、気持ちが楽に

A 自分の周りにあるものに興味を持ち、触りたい、持ちたいという意欲満々のお子さんなのでしょうね。その気持ちが強いので、他の子が使っている玩具に突進して奪ってしまうという行動になる場合もある。そうなると好奇心旺盛とばかりは言っていられなくなります。

 子どもの姿は捉えようによってどのようにも見えてくるものです。でも一見マイナスのように見える姿も、次の育ちにつながる必要な体験ですから大人が深刻になり過ぎないことが肝要です。その上で、この時を切り抜ける作戦を複数知っていると気持ちが楽になります。3つ紹介します。

 ①気持ちを受け止めつつ、そっと止める大作戦

 他の子の玩具を取ろうとした瞬間に立ち会えた時には、わが子の手を包みつつ「使いたいのね」と気持ちを受け止める言葉をかけます。「お友達がびっくりしちゃっている」と知らせたり、「あっちに面白そうなものが」とつぶやいたりしながら。

②落ち葉や砂などがある自然の中に出かける大作戦

 玩具への執着が強くなっている時は、玩具で遊ぶ場所に行くのを避けることを考えてもよいかもしれません。一面の落ち葉や砂浜、草むらなど、自然の中に出かけてはどうでしょう。親子で落ち葉をかけ合ったり、大きな砂山を作って遊ぶと、楽しかったという記憶が心と体の中にため込まれます。

③子育て仲間で、ワイワイ子育て大作戦

 「今はそういう時期だよね」と子どもの心持ちを理解し、おおらかな気持ちで見守ったり、互いの間を仲介する子育て仲間ができるといいですね。気持ちを受け止められる体験を重ねる中で、いつか我慢できる時が来るということを信じて。

 (文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)