世界の絵本作家24人がつながった絵本「ちきゅうパスポート」 子どもが国境のない世界を自由に羽ばたけるように

(2023年4月29日付 東京新聞朝刊に一部加筆)

ページが蛇腹(じゃばら)の形につながっている絵本「ちきゅうパスポート」(BL出版)

 子どもたちが国境のない世界を自由に羽ばたけるように―。国内外24人の絵本作家たちがメッセージを込めた絵本「ちきゅうパスポート」(BL出版)が3月に刊行された。ウクライナの子どもたちを支援するため、収益の一部を国連児童基金(ユニセフ)を通じて寄付する。パスポートを模した小さな絵本に込めた思いを聞いた。

きっかけはロシアのウクライナ侵攻

 絵本を作ったきっかけは昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻。「絵本作家が手と手をつなぎ、苦しんでいる子どもたちのためにできることはないか」と、ささめやゆきさん、石川えりこさん、あべ弘士さん、田島征三さんらが発起人となり、昨年3月から準備を進めてきた。イギリス、ウクライナ、スロバキア、南アフリカ、ブラジルからも各国を代表する絵本作家たちが加わった。

「ノダム(むすびめの国)」ウクライナの絵本作家ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ (BL出版提供)

蛇腹で表現 絵がつながっている

 絵本は、日本ではあまりなじみのない蛇腹(じゃばら)の形にした。「草原をゴリラの親子が仲良く暮らす国」や「人も動物も妖怪も、すべての生き物が手を取り合い、踊る国」など、計22枚の「子どもたちに行ってもらいたい国」が描かれ、それぞれの絵の一部が隣の絵とつながっている。

 「みんなつながっているんだよという思いを込めた」と編集を担当した絵本評論家の広松由希子さん。新型コロナウイルスの流行やウクライナ戦争など、閉塞感のある重苦しい時代を生きる子どもたちを思い、こう話す。「本当はみんな自由なんだよということを伝えたくて、国境のない想像の国をパスポートを持って、自由に旅しようというコンセプトにした」

 自分の名前や誕生日などを書き込む欄もあり、それぞれの特別な一冊になるように工夫した。「何度も見返し、ずっとそばに置いてもらえる1冊になったらうれしい」と願う。

困っている子を守るのが大人の役目

 「みんなひとりじゃない」というタイトルの絵を寄せた、ささめやさんは「私たち絵本作家は子どもたちとともに進んできた。世界中の作家とつながり、思いを広げていきたい」と話す。

ささめやゆきさん(左)と石川えりこさん=東京都中央区の教文館ナルニア国で

 「青と緑の国」という絵を描いた石川さんは「戦争であちら側、こちら側とかではなく、いろんなところで困っている子どもを守るのが大人の役目」と訴える。参加したきくちちきさんも「ウクライナの子どもたちを少しでも元気づけられたら」との願いを込め、「飛ぶ国」を描いた。 

 「ちきゅうパスポート」は1980円。

◇「ちきゅうパスポート」に参加した24名の絵本作家
日本 あべ弘士、石川えりこ、加藤休ミ、きくちちき、さかたきよこ、ささめやゆき、スズキコージ、田島征三、tupera tupera、長谷川義史、はたこうしろう、降矢なな、ほりかわりまこ、松成真理子、ミロコマチコ、村上康成、吉田尚令
南アフリカ ピート・グロブラー
スロバキア ペテル・ウフナール
ブラジル ホジェル・メロ
ウクライナ ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ
イギリス ローラ・カーリン

銀座で原画展を開催中

 東京・銀座の教文館ナルニア国では、原画展を5月31日まで開催中。入場無料。午前10時~午後7時(5月10日はイベントのため午後5時に閉店)。問い合わせは同店=電話03(3563)0730=で受け付けている。

ささめやゆきさん×石川えりこさんトーク「地球はみんなのもの、さぁ、旅に出よう」

 5月10日午後6時~7時半。会場は教文館9階ナルニア国店内。定員は40人。参加費は1500円(「ちきゅうパスポート」を予約の人は1000円)。講演会終了後、サイン会を予定(但し書籍の持ち込みは不可)。同店のホームページで詳しく案内している。