こども食堂に「ほしい物リスト」を活用しよう 通販サイトで寄付できる 埼玉で運営者向けセミナー
浅野有紀 (2023年6月9日付 東京新聞朝刊)
埼玉県子ども食堂ネットワークは4日、運営者向けにインターネットで寄付を募る方法を学ぶセミナーを開いた。地域ボランティアとともに細々と活動を続ける運営者は、物価高騰のあおりを受ける中、助成金や寄付で苦しいやりくりを迫られている。セミナーは、こうした子ども食堂の現状を広く知らせ、支援につなげようと開かれた。
寄付のミスマッチも防止
認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(東京)などが講師となり1月から始まったセミナーには、これまでに約30人が参加した。
セミナーでは、インターネット通販サイト「Amazon」で気になる商品をリスト化して公開できる機能「ほしい物リスト」のつくり方が紹介された。この機能は各団体・施設が公開したリストを見て、応援したいと思った人が購入ボタンを押すと、Amazonを通じて寄付・配送される仕組み。直接の寄付と違い、必要な品が得られなかったり、充足している食品を余らせたりするなどのミスマッチを防げるメリットがある。
Amazonに一覧ページ
吉川市で2019年夏から「みんな食堂たんぽぽ」を開く伊東寿恵さん(60)は「活動を長く続けるためには助成金だけでは足りない」と話す。「今日は少し食材が少ないかなという日がたまにある。そこへ食材費がかなり高騰してきた」と運営の厳しさを語る。この日は講習を受けて無事にリストを作成し、ウインナーやシューマイなど子どもたちにも人気の食品を「ほしい物」に掲げた。
むすびえが昨秋、全国の食堂に対して実施した困りごとアンケート(回答数681件)では、「必要な人(貧困家庭など)に支援を届けること」(59%)と「運営資金の不足」(45・4%)を挙げた回答が多かった。セミナーは、インターネットを活用して寄付を募り、SNSでお礼を発信することで活動を広く知ってもらおうと企画された。
埼玉県内各団体の「ほしい物リスト」は、各食堂のSNSや、Amazonが寄付を募る団体を紹介する「みんなで応援プログラム」ページで閲覧できる。