公共冷蔵庫とは? 生活に困っている人が、寄付された食料を周りを気にせず受け取れる

古根村進然 (2023年4月24日付 東京新聞朝刊)
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「みんなのれいぞうこ」を紹介する安藤さん=名古屋市昭和区で

 生活に困っている人たちが、地域の人や企業から寄付された食料品や日用品を無料で受け取れる施設が、全国に広がりつつある。「公共冷蔵庫」などと呼ばれ、24時間利用できるところも。食品ロスの削減にもつながる取り組みで、物価高が続く中、運営関係者は「共感の輪を広げたい」と話している。

ロッカー型で1世帯分 お菓子に米も

 お菓子やマヨネーズ、フルーツの缶詰…。名古屋市昭和区の公共施設前にあるロッカー型冷蔵庫の扉を開け、1世帯分の食品を入れる。「普段は1回に約4キロずつ。米を配布する場合もある」。子ども食堂の運営などを担う地元の一般社団法人「つなぐ子ども未来」代表理事の安藤綾乃さん(47)が顔をほころばせた。

 同法人は「みんなのれいぞうこ」と銘打ち、昨年5月から名古屋市内5カ所に冷蔵庫を順次設置した。生活に困った人が周りの目を気にせず、身近な場所で食料品などを受け取れるようにしたい、との思いからだ。

 フードバンクや個人から寄せられた食料品や日用品を週2回、スタッフが各冷蔵庫に配送する。その都度、利用登録をした人にLINEで申し込みを募り、困窮状況などを踏まえて配布先を決定。当選者に冷蔵庫を開ける暗証番号などを伝え、指定の24時間以内に取りに行ってもらう仕組みだ。今年2月末時点で、市内外のひとり親世帯や高齢者世帯などの328人が登録し、延べ1252世帯が支援を受けた。

24時間OK「助かるし、心が温まる」

 市内で中学1年の長男(12)と暮らすパート従業員の女性(47)は昨夏からこの冷蔵庫を利用してきた。「人と会わず、気を使わなくて済む。24時間いつでも好きな時に受け取れるのがいい」

 給与の手取りは月10万円ほど。児童扶養手当と、食費や学用品代を補助してもらえる就学援助を受けている。「これまで受け取った食材で豚のしょうが焼きやカレーを子どもと一緒に作った。家計が苦しい中、本当に助かり、心も温まる」と感謝する。

 「子ども食堂に来ることさえできずに困っている人を助けたい」と安藤さん。食料品やボランティアを募りながら冷蔵庫の設置場所をさらに増やすつもりだ。

岡山市の例 毎日70~80世帯が利用

 岡山市の一般社団法人「北長瀬エリアマネジメント」は、欧州の事例に倣って2020年11月から公共冷蔵庫「コミュニティフリッジ」を始めた。市内の複合商業施設の倉庫に冷蔵庫や棚を設け、個人や企業から寄付された食料品や日用品を陳列。児童扶養手当や就学援助を受けている利用者が専用のアプリで鍵を開けて入り、必要な物を持ち帰ることができる。24時間利用でき、毎日70~80世帯が使うという。

 このノウハウの提供を受けたNPO法人や商工会議所などが、佐賀市や堺市、埼玉県草加市など7カ所でも類似の活動を進めている。東京都板橋区も7月に公共冷蔵庫を設ける計画だ。北長瀬エリアマネジメント専務理事の新宅宝さん(34)は「『支援する側』と『される側』が顔を合わさずにつながれる仕組みで、地域住民が互いを助け合う場となっている」と話す。

各家庭の悩みを聞くことができれば

◇子ども食堂に詳しい中京大の成元哲(ソンウォンチョル)教授(社会学)の話 公共冷蔵庫は、子ども食堂で経済的に困窮する世帯に食料品などを配布する「フードパントリー」に類似した活動だ。その後継として今後さらに広がる可能性がある。

 行政の支援があっても生活が苦しい人はおり、社会で多様な支え方があるのは良いこと。ただ、子ども食堂では利用者と対面することで各家庭の悩みなどを吸い上げてきた。公共冷蔵庫も普及に際してそうした配慮が必要だ。行政など関係機関が協力し食材などの寄付者と利用者の思いがつながるようなシステムを構築してほしい。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年4月24日

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