冬休みの子どもに食料を 過去最多6743世帯から申し込み 物価高で「クリスマスやお年玉も無理」
保母哲 (2023年12月5日付 東京新聞朝刊)
子どもの貧困対策の一環で、冬休みに入る家庭に無料の食料を届けようと、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京)が、千葉県船橋市内で発送準備を進めている。全国の世帯を対象にした「冬休み 子どもの食 応援ボックス」は3回目。募集は5000世帯で、過去最多の6743世帯から申し込みがあったという。
セーブ・ザ・チルドレン「応援ボックス」
応援ボックスは、企業からの提供品や同NGOが購入するなどした無洗米(5キロ)、乾麺、缶詰、お菓子、文具など計約15キロを段ボール箱に詰め、希望者宅に送る。申し込みが多かったため抽選などで選んだ。
船橋市内の物流倉庫では同NGOのボランティアスタッフらが11月28日から作業を続けており、その様子が報道機関に公開された。応援ボックスは今月5日から順次発送し、年内に各家庭へ届けられる。
同NGOはコロナ禍での緊急支援として2020年、首都圏を対象に「ひとり親家庭 応援ボックス」を開始。2021年からはふたり親世帯も対象とし、2022年からは全国の世帯に届けている。
85%が「十分な食料買うお金ない」
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、「応援ボックス」に申し込んだ全国6743世帯にアンケートをしたところ、「物価上昇による食費の値上がりで、十分な食料を買うお金がない」と回答した世帯が85.6%で、物価高騰が家庭を直撃していることが改めて浮き彫りになった。
「子どもの食事量を減らしている」
アンケートでは、申し込み理由(複数回答)は「十分な食料を買うお金がない」に続いて「子どもが食べ盛りで食費がかさむ」が68.4%、「年末年始に向け出費がかさむ」が67.6%。食費を心配する声が多く、「経済的な理由で、子どもの食事量を減らしている」が25.4%だった。
物価上昇により、1年前と比べて子どもへのマイナスの影響は「大いにあった」が56.4%、「ややあった」が40.9%。クリスマスプレゼントやお年玉は「経済的にできない」が53.7%と半数を超えた。
応援ボックスを希望した多くが母子家庭だったとし、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの川上園子・国内事業部長は「物価の上昇が、生活困窮家庭の子どもたちの成長や教育に大きな影響を与えている。政府は迅速な対応をすべきだ」と訴えている。